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2021 Fiscal Year Research-status Report

長寿命・多産を可能にするヤマトシロアリの生体分子機能の解析

Research Project

Project/Area Number 20K06074
Research InstitutionYamaguchi University

Principal Investigator

井内 良仁  山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (60272069)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywords超長寿命生物 / ヤマトシロアリ / 生存戦略 / 活性酸素 / 抗酸化 / 尿酸 / 代謝調節
Outline of Annual Research Achievements

寿命の長い動物は少産で、短い動物は多産という「寿命と生殖のトレードオフ」を打破した日本のヤマトシロアリ生殖虫(王・女王)は、30年以上という昆虫の中では突出した超長寿命を誇り、その長い寿命の間、旺盛な生殖能力を維持する。この生存生殖戦略については今まで全く不明であったが、1)強力な抗酸化物質「尿酸」を大量に体内に有する、2)酸素呼吸を抑制する代謝調節を行い、生体分子を酸化傷害する活性酸素の産生を抑制する、3)少しでも生じる活性酸素を消去無毒化する抗酸化酵素を発現亢進させて生体防御を行っている、などが明らかになってきた。この中で、ヤマトシロアリが体内に大量に有する尿酸は、抗酸化システムに寄与するための防御システムなのかについて、尿酸合成(分解)に至る代謝系における酵素遺伝子の発現を調べた。
その結果、尿酸が体内に蓄積する過程では、解糖系からペントースリン酸経路、そこに至る糖新生経路、そしてプリン代謝系から最後の尿酸合成系まで、ほとんど全ての酵素遺伝子の発現が顕著に増大していた。これは、抗酸化物質の尿酸を積極的に体内で合成すべく代謝調節を行っていることを示唆しており、活性酸素による酸化ストレスからの生体防御システムのひとつとして尿酸を役立てていることを意味する。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

コロナの影響もあって就職活動が困難な状況で、実験に従事できる大学院生が少なく、実験手技がまだ十分ではない卒論生が中心になる研究活動であるため、実験における失敗やミスも多く、遂行も遅れがちである。

Strategy for Future Research Activity

ヤマトシロアリが代謝を調節することで抗酸化物質尿酸を大量合成し、酸化ストレスに対抗する、いわば「抗酸化代謝調節」をおこなっていることを遺伝子レベル、生体分子レベルで証明するために、さらにメタボローム解析を行い分析する。尿酸は経口摂取でシロアリの寿命を延ばすことがわかったため、尿酸の抗酸化物質としての機能・寿命延長効果が他種の昆虫でも共通なのか, 尿酸をショウジョウバエに経口摂取させて酸化ストレスに対する抵抗性, 寿命にポジティブに働くか調べる。また、外から尿酸を摂取させたシロアリ体内で、どのような代謝変化と遺伝子発現調節が起こるのか調べる。

Causes of Carryover

コロナの影響で学会や出張などがほとんど無かったこと、研究の進捗が少々遅れていること、予算執行の締め切りが年内と早かったことなどが考えられる。
遅れた分を取り返すべく効率的に研究を遂行するとともに、学会での成果発表、論文投稿を積極的に行う予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2021

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 尿酸に注目したヤマトシロアリ長寿命の解析2021

    • Author(s)
      梶原由貴, 中筋勇希, 木村洋貴, 有本隼人, 田崎英祐, 井内良仁
    • Organizer
      日本酸化ストレス学会学術集会
  • [Presentation] 社会性昆虫の個体を超えた代謝ネットワーク研究に挑む2021

    • Author(s)
      田崎英祐, 井内良仁, 松浦健二
    • Organizer
      日本応用動物昆虫学会大会

URL: 

Published: 2022-12-28  

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