2021 Fiscal Year Research-status Report
女王アリの長期間の精子貯蔵に関わる受精嚢内微小環境の解析
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20K06080
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
後藤 彩子 甲南大学, 理工学部, 准教授 (70734680)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アリ / 精子貯蔵 / 繁殖戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
社会性ハチ目昆虫では、女王は羽化後まもない時期にしか交尾しないため、この時に受け取った精子を体内の受精嚢の中に寿命が続く限り貯蔵する。本研究では、精子が貯蔵される微小空間である受精嚢リザーバー内の化学的な性質を調べた後、それらのどの因子が精子の生存に寄与するか、また、寄与するのであれば 具体的に精子の生理状態にどのように影響しているかを明らかにすることで、アリ科女王の長期間の精子貯蔵メカニズムの解明を目指している。 本年度は、微量な受精嚢リザーバー内液をサンプリングし、プロテオーム解析をすることに成功した。解析の結果、精子貯蔵に重要だと思われるタンパク質候補を絞り込むことができた。また、これまでに、貯蔵中の精子は不動化されていることがわかっている(Gotoh and Furukawa, 2018)。昨年度に各種試薬や阻害剤を使用することで、精子の不動化に関与する要素をほぼ特定することができたが、本年度ではそれをさらに補強するデータがとれた。これらのデータをまとめ、現在論文を執筆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で使用している種の女王アリの受精嚢は、アリの中でも巨大であるものの、解析をおこなうために十分な量の内液をサンプリングできるかは不明であり、サンプリングできる時期も限られていた。その中で、プロテオーム解析に成功したため、順調に進展したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
ひきつづき、受精嚢内液をサンプリングし、その化学組成を調べる。2022年度が最終年度であるため論文の出版を目指す。
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Causes of Carryover |
各実験項目の予備実験の段階で、手間取ることなく実験条件を設定できるに至ったため、試薬を節約できた。次年度、その分を使用し、さらなる解析を追加で進める予定である。
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