2022 Fiscal Year Annual Research Report
女王アリの長期間の精子貯蔵に関わる受精嚢内微小環境の解析
Project/Area Number |
20K06080
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
後藤 彩子 甲南大学, 理工学部, 准教授 (70734680)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 精子貯蔵 / 受精嚢 / 女王アリ / アリ |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの種の女王アリでは、交尾後に、オスから受け取った精子を受精嚢の中で10年以上にもわたって保存することが知られている。本研究では、この長期間の精子貯蔵メカニズムを探るため、精子が貯蔵される微小空間である受精嚢リザーバー内の環境に着目した。その結果、受精嚢リザーバー内がほぼ無酸素環境であり、これが貯蔵精子の不動化を引き起こしていることを明らかにした。さらに、人為的に作り出した無酸素環境下では、有酸素環境下よりも精子の生存率を高く維持できた。このことから、受精嚢内のほぼ無酸素環境が、長期間の精子貯蔵メカニズムの鍵のひとつであるといえる。しかし、人為的なほぼ無酸素環境では、自然状態の女王体内の環境よりも精子の生理状態と生存率を保つことはできなかったことから、長期間の精子貯蔵には無酸素環境以外の要素も重要であることが分かった。現在、他の要素を探索しており、予備実験の段階だが、重要な候補を絞りつつある。
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