2022 Fiscal Year Research-status Report
Investigating the molecular mechanism and evolution of sex determination in Culex mosquitoes
Project/Area Number |
20K06085
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
糸川 健太郎 国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 主任研究官 (70769992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
駒形 修 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 主任研究官 (20435712)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 蚊 / 昆虫 / 性決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
蚊(Culicidae)はマラリアやデング熱といったヒトの重要な疾病を媒介する重要な分類群である。蚊類の性決定機構にはいずれの種でも異形Y染色体あるいは同型の第一染色体上に存在する顕性のオス性決定因子(M因子)が関わっていることが古くから知られていた。本研究ではフィラリア症やウエストナイル熱の媒介者であるイエカ(Culex)属の蚊における性を決定する遺伝子(M因子)を、次世代シーケンサーやゲノム編集法などの最新の技術を用いて特定することを目的とする。イエカ属に存在するM因子は、これまでに他の属で特定されている性決定遺伝子の相同遺伝子(オーソログ)ではなく、イエカ属独自に進化・獲得した遺伝子である可能性が高い。イエカ属のM因子特定は、重要な疾病媒介蚊の新たな防除技術へと繋がることが期待される。 M因子は下流応答遺伝子としてdoublesex (dsx)と呼ばれる遺伝子の選択的なスプライシングを制御していることが分かっている。そこで、イエカ属の一種であるネッタイイエカの受精卵(産下後48時間以内)におけるdbsx 遺伝子の発現量およびスプライシングパターンを、産下後から経時的に調べた。各受精卵の性別については、前年度までに明らかにしていた遺伝子マーカをもとに判別した。この実験により、dbsx 遺伝子発現の開始時期及び雌雄特異的な選択的スプライシングが見られはじめる時間を特定した。さらに、この結果をもとに、産下24時間後の受精卵についてトランスクリプトーム解析を行った。また、これまでにアカイエカ種群(Culex pipiens complex)の性決定遺伝子が含まれる染色体領域について明らかにしているが、比較ゲノミクス解析を行うために近縁の別種の蚊について野外からサンプルを入手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度及び2年目まで新型コロナウイルス感染症に関する所属機関での対応業務が増え満足な時間が取れなかったことが現在でも進捗に響いている。昨年度は、野外調査により新たなサンプルを入手することもできたため、進捗を幾分か取り戻すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
より初期の胚についてトランスクリプトーム解析を行う。 また、アカイエカ種群の近縁種の蚊についてゲノムシーケンスを行い、性決定遺伝子の候補として保存された配列を探索する。
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Causes of Carryover |
これまでの進捗状況の遅れを考慮し、本研究課題を一年間延長することにした。本年度は、トランスクリプトーム解析、アカイエカ種群の近縁種の蚊についてゲノムシーケンスおよび学会発表・論文投稿に使用する。
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