2022 Fiscal Year Annual Research Report
環境DNA分析による検出誤差を踏まえた種多様性評価手法の開発と検証
Project/Area Number |
20K06102
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
深谷 肇一 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物多様性領域, 主任研究員 (30708798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今藤 夏子 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物多様性領域, 主任研究員 (10414369)
角谷 拓 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物多様性領域, 室長 (40451843)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 環境DNAメタバーコーディング / サイト占有モデル / 調査設計 / 魚類群集 |
Outline of Annual Research Achievements |
野外において生息種を簡便かつ網羅的に把握するための新しい観測手法として、環境DNAメタバーコーディングが広く利用され始めている。しかし、環境DNAメタバーコーディングでは様々な要因により偽陰性と偽陽性が生じ得るため、こうした誤差を適切に考慮するための手法の高度化が求められる。本研究では、環境DNAメタバーコーディングにおける偽陰性の種検出誤差に適切に対処し、正確かつ効率的に種多様性の評価・予測を行うための統計的な枠組みを構築すること、およびそれを簡便に利用するためのソフトウェアを開発することを目的としている。 今年度は、昨年度までに提案済みの手法を簡便に扱うことのできる解析ソフトウェアの開発・改良を主に進めた。本ソフトウェアは統計解析向けのプログラム言語Rの拡張パッケージとして開発・公開しており、今年度に環境省が実施した環境DNA技術標準化・一般化業務の重点調査データの解析に利用されて「環境DNA分析技術を用いた淡水魚類調査手法の手引き」の改訂に貢献した。また、提案手法を水生昆虫を対象とした環境DNAメタバーコーディングにも適用することで、水生昆虫種の効果的な検出方法に関する検討を行った。 研究期間全体を通して、本研究では当初の目標としていた手法開発と応用を概ね達成できた。具体的には、環境DNAメタバーコーディングに固有の種検出過程を表す統計モデルを提案し、それに基づく研究設計の手法を構築できたが、ソフトウェアの開発については研究期間中に正式版をリリースできなかったため、今後さらなる取り組みを進めていく予定である。
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