2020 Fiscal Year Research-status Report
市街地縁辺部の狭小・低未利用緑地のパブリックオープンスペースとしての更新・再編
Project/Area Number |
20K06105
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
柳井 重人 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 准教授 (30241946)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | パブリックオープンスペース / 土地利用 / 住区基幹公園 / 狭小緑地 / 低未利用地 / 首都圏近郊都市 |
Outline of Annual Research Achievements |
既往研究および先進事例を把握するとともに,それらを類型化することを想定して,文献資料調査や現地踏査を実施した。 また,実地研究として,首都圏近郊の代表的な住宅都市である千葉県松戸市を対象地とし,①住区基幹公園や要綱に基づいて暫定的に設置された「こどもの遊び場」の配置と空き地等の低未利用地との関係,②街区公園と「こどもの遊び場」の整備及び管理運営の実態の比較,③街区公園と「こどもの遊び場」の利用実態の比較を実施した。 ①では,地区スケール(小学校区)を分析の単位として,GISを用いて,住区基幹公園,「こどもの遊び場」,空き地や管理放棄樹林地の分布状況を把握した。その結果,住区基幹公園や「こどもの遊び場」の配置には地域差があること,パブリックオープンスペースとして活用の可能性がある低未利用地は宅地化農地が多いが,市街地縁辺部では空き地や樹林地も多いこと,1,000㎡未満の低未利用地が多く,狭小公園緑地との連携を含めた活用を検討する必要があること等が把握された。 ②では,GISによる空間分析調査,行政資料に基づく文献資料調査,行政担当者へのインタビューを実施し,街区公園と「こどもの遊び場」の整備および管理運営の実態を比較した。その結果,「こどもの遊び場」のストックが減少していること,街区公園と「こどもの遊び場」ともに,面積が1,000㎡以上になると,祭礼等を含む地域行事や団体スポーツ等に利用され,地域単位でのレクリエーションやコミュニティ形成に寄与していること,両者の配置においては250mの誘致圏が競合していること等把握された。 ③では,過年度に実施した行動観察調査の結果を精査し再分析した。すなわち,地区スケールの空間のなかで250mの誘致圏が競合している街区公園と「こどもの遊び場」の利用日(休日・平日別),利用者の年代,利用者数,利用時間帯,利用内容等を比較した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究のうち,先進事例地における現地視察や関係者へのインタビューは,新型コロナウィルス感染症の影響もあり,予定どおり進めることができなかった。しかし,その代替措置として,パブリックオープンスペースに係わる施策の動向を探ることとし,担当者へのアンケートの作成等の準備を進めることができた。 一方,松戸市をケーススタディにした実地研究は,順調に進んでいる。街区公園等の住区基幹公園,「こどもの遊び場」のような暫定的緑地,空き地や管理放棄地(樹林地・農地)を対象にした空間分析,街区公園と「こどもの遊び場」の整備・管理運営実態の比較分析に関する研究成果が,それぞれ2編の学術論文(査読付き)として,学会誌に掲載された。また,誘致圏が競合する街区公園と「こどもの遊び場」の利用実態に関する研究成果は,学術論文(査読付き)として学会誌に投稿し,採用が決定しており,2021年度に公表予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初研究計画のとおり,2021年度~2022年度にかけては,①パブリックオープンスペースに関する施策等の動向の把握(先進事例の把握を含む),②狭小・低未利用緑地のパブリックオープンスペースとしての更新・再生に関する実地研究を推進する。 ①に関しては,引き続き,先進事例調査を予定するが,新型コロナウィルス感染症による研究活動への影響も鑑み,代替的な方策として,行政の施策の動向を探ることにする。具体的には,狭小緑地や低未利用地の活用に関する地方自治体の条例・要綱の分析,それらの運用実態や運用担当者である行政職員の認識等を把握するためのアンケートを,首都圏の諸都市を対象に実施する予定である。 ②に関しては,街区公園や条例・要綱に基づく公園緑地および低未利用地の分布の時系列的な変化(動態)を把握するとともに,長期的に活用されていない低未利用地の特性(立地,面積,接道,土地所有等)を明らかにして,暫定利用を含むパブリックオープンスペースとしての活用の可能性を検討する。
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Causes of Carryover |
今年度の研究で予定していた先進事例地における現地視察や関係者へのインタビューを,新型コロナウィルス感染症の影響により,延期したため。
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