2022 Fiscal Year Research-status Report
市街地縁辺部の狭小・低未利用緑地のパブリックオープンスペースとしての更新・再編
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20K06105
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
柳井 重人 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 教授 (30241946)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オープンスペース / 土地利用 / マネジメント / 緑地 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は,前年度に引き続き,首都圏近郊都市の中から選定したケーススタディの対象地において,以下の3つの調査研究を進めた。 第一に,横浜市でのケーススタディでは,低未利用地のうち公有地に着目し,その立地特性(地形,用途地域,接道条件,街区公園との位置関係等)と暫定的な利用(菜園・花壇,子どもの遊び場,防災倉庫等)の実態を把握した。また,両者の関連性を検討し低未利用公有地のパブリックオープンスペースとしての利用の可能性や課題を検討した。 第二に,松戸市の市街地縁辺部である金ヶ作地区でのケーススタディでは,当該地区の土地利用現況や低未利用緑地の分布実態を把握した。また,行政により公共的緑地として位置づけられ育苗圃として管理運営されている民有地,市民団体により管理運営されている民有樹林地等を対象に,管理運営や地域住民への公開の実態,これらに係わる行政,市民団体等に主体間の協働関係や認識を把握した。そして,同一地区内での主体間の協働に基づいたパブリックオープンスペースの形成の可能性や課題を検討した。 第三に,市街地縁辺部の低未利用緑地の活用方策の一つとして,食と農と循環をテーマに検討を行った。高経年集合住宅団地でのケーススタディでは,前年度に引き続いて,食や菜園を意図した低未利用緑地の活用提案と参加者へのインタビューを実施した。また,都市公園から発生する植物性廃棄物の活用提案とインタビュー,市街地縁辺部に分布する果樹園から発生する植物性廃棄物の活用実態に関する調査も行った。 なお,これらの成果の一部は,日本造園学会の全国大会や関東支部大会において発表し,他の研究者等との意見交換を行った。また,2021年度に実施した低未利用地活用型緑地の設置管理に係わる条例等の制度の運用状況の分析結果を精緻化するとともに,査読付き論文として投稿する準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3つの視点から実施した調査研究のそれぞれについて,調査データを取得することができ,分析も一定程度進めることができた。また,その成果の一部を,学会におけるポスター発表を通じて公表できた。また,次年度の初めにずれ込んだものの,研究成果の査読付き論文としての投稿の準備ができた。 一方,コロナ禍の影響もあり,先進事例地における現地視察や関係者へのインタビューに関しては一部未実施となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度も前年度に引き続き,文献資料調査等に基づいて,パブリックオープンスペースやその更新・再編に係わる概念や枠組みの再整理を行う。また,関連する各種の取り組みのうち,先進事例を抽出し,現地調査や関係者へのインタビュー等を通じて,市街地縁辺部の狭小・低未利用緑地のパブリックオープンスペースとしての活用方策のあり方や課題を整理する。 また,継続して,①市街地縁辺部での農的活動に対応した都市公園,市民農園の整備,利用の実態やマネジメント手法の検討,②低未利用地,農地・耕作放棄地,管理放棄樹林地,公共緑地等を包含する地区における多様な主体の連携によるマネジメント手法の検討,③食・農・循環をテーマとした狭小・低未利用緑地の活用可能性の検討を行う。 最後に,以上の成果を含め,これまでの研究成果の精緻化と取りまとめを行い,市街地縁辺部の狭小・低未利用緑地のパブリックオープンスペースとしての更新・再編の可能性,課題,今後のあり方を論ずる。 なお,引き続き,学会発表や査読付き論文の投稿を進め,研究成果の公表に努める。
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Causes of Carryover |
先進事例を把握するための現地調査等を予定していたが,コロナ禍の状況等を勘案し,延期することとしたため。
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