2020 Fiscal Year Research-status Report
公園緑地を媒介とした要支援者の減災のための情報共有とそれを促す防災プログラム
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20K06111
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
美濃 伸之 兵庫県立大学, 緑環境景観マネジメント研究科, 教授 (00336835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶽山 洋志 兵庫県立大学, 緑環境景観マネジメント研究科, 准教授 (40344387)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 公園緑地 / 防災 / 障がい者 / バリアフリー / ユニバーサルデザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
以下に、当初の研究計画を記す。本研究では、ユニバーサル化先進事例における要支援者とその関連主体間での情報共有、先導的障害者のリスク体験および要支援者の減災事例の実態調査を通じて、避難時要支援者の減災を考える上で要支援者とその関連主体間で共有されるべき情報の内容を明らかにするとともに、当該情報の共有を促す公園緑地での防災プログラムを多様な主体と協働で試行し、その有用性を検証する。最初に、ユニバーサル化先進事例において、その運営主体と障害のある利用者との間で情報共有されている項目を把握し、その優先順位を明らかにする。続いて、明らかにした情報共有が活きる具体のリスク場面または減災場面を先導的障害者が遭遇したリスク体験および避難時要支援者の減災事例から理解する。最後に、減災のために共有すべき情報を公園緑地での防災プログラムへ主流化させる。ここでは、支援する側、要支援側、第3者のそれぞれの気づきが導かれるよう、①多様な属性の参加を想定した防災体験プログラム、②ウェブサイトおよびSNS等による防災機能周知、③職員等を対象とした防災訓練プログラムを対象に、内容または情報の組み込みを図る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度は新型コロナウィルス感染症拡大のため、予定していた対象地域への訪問や障害当事者を対象としたヒアリング等の実施が困難であった。そのため、国営海の中道海浜公園を対象に、UD の取組を協働でかつ持続可能な範囲で推し進めていく方策を検討するため、民間を含めた園内6機関でそれぞれに実施している取組を把握・整理することで、どのような共通項が見いだせるのか検討した。その結果、UD を現実的に公園管理の実際へ主流化させていくには、リスク管理や連携推進、スキル向上などの取組が有望であることが明らかとなった。また、UDオンライン教材を作成し、その有効性を確かめるべく、上記の6機関を対象に公園管理実務者向け研修の試行を行った。一方、新型コロナウィルス感染症拡大については、次年度以降も同様の状況が続くと予想されるため、当初の研究計画について抜本的な見直しを行うべく、準備に取り掛かった。今後は、いまの状況に応じた新たな目的設定および対人ヒアリングや公園プログラム運営に依存しないアプローチの考案などにも取り組む。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように、当初に予定していた対人ヒアリングや公園プログラム運営については、新型コロナウィルス感染症の状況を見ながら調査を進めていく。一方で、コロナ禍でも適用可能なアプローチによる要支援者の減災に資する新たな取り組みに着手する。具体的には、地域レベルでのバリアフリー環境の変遷とリスク環境、および公園緑地等との関連性を明らかにすることを通して、要支援者の減災における緑地やオープンスペースの役割について考察する。ここでは、まず、所属する研究機関が位置する兵庫県内にあらたな研究対象地を設定し、GIS等の空間情報ツールによるリスクとバリアフリー環境の関連解析を実施する予定である。また、これらを効果的に実施するための既往研究の整理、対象地域設定のための現地調査、リスクやバリアフリー環境評価のための空間情報の収集とそのデータベース化に取り組む。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症拡大により、予定していた対象地域への訪問や障害当事者を対象としたヒアリング等の実施が困難であったため。
研究費は、現地調査旅費、および対人ヒアリングおよび専門知識を有する専門家招聘の謝金、外部講師旅費、使用する機器購入や事務費等に充当する。次年度は兵庫県内での調査研究に加えて、従来に予定していた福岡県での調査研究を予定しており、兵庫~福岡間の打ち合わせのための旅費が必要である。また、空間情報を取り扱うための情報解析機器やソフト、メディア、記録機器を購入する費用が必要である。また、ヒアリングした結果や空間情報データベースのデータ量は膨大であるため、これらの収集および整理にかかる研究補助経費も必要である。
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