2020 Fiscal Year Research-status Report
文化的景観の維持管理における保存会組織の役割と指定物件の保全状況に及ぼす効果
Project/Area Number |
20K06112
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
内藤 和明 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 准教授 (50326295)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山室 敦嗣 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 教授 (90352286)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 天然記念物 / 維持管理 / 管理団体 / 生業 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の国指定天然記念物988件の中から,継続的な維持管理作業の必要性が比較的高いと思われる植物を対象にした指定物件について,対象種あるいは対象群落の性質に基づいて類型化を行い指定件数を確認した.類型化の基準は,単木,森林植生,湿地や湿性等の植物,タケ・ササ類,シダ類,コケ類,およびその他とした.暫定的な集計の結果,植物を対象にした指定件数として505件が該当し,そのうち239件(47.3%)が単木として指定された物件,次いで166件(32.9%)が森林群落で,この2類型を合わせて全体の80.2%を占めた.それ以外の類型は比較的低い割合であり,湿地や湿性等の植物は33件(6.5%),タケ・ササ類は9件(1.8%),シダ類10件(2.0%),コケ類4件(0.8%)であった.これらの割合を地方別にみると,北海道には単木を指定した物件がなく森林群落が90%近くを占めること,東北,関東,中部地方では単木を指定した物件の割合が高く,近畿,中国地方では森林群落を指定した物件の割合が高い傾向,また,東北,近畿,中国地方では湿地や湿性等の植物を指定した物件の割合が高い傾向が確認された.これらの類型と物件の維持管理体制との関係を明らかにするために,指定物件の管理団体の所在情報について取りまとめを進めるとともに,指定物件の管理状況および管理団体以外の管理組織(いわゆる保存会等)の有無やその役割を明らかにするためのアンケート調査の様式について構成と項目の検討を行っている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の流行下で指定物件の類型化と解析作業に時間を要したためアンケート調査等の準備作業が途上にあるため.
|
Strategy for Future Research Activity |
アンケート調査を行い,物件の維持管理の体制,「保存会」(住民による維持管理組織)の有無および活動内容に関する調査を進める.当初の計画では詳細な活動内容等を聞き取りにより明らかにすることにしているが,COVID-19の発生により対面での調査が困難な状況であるので,詳細版アンケートのような書面による調査が可能かどうかなど代替の実施方法について検討する.指定地周辺の土地利用や相観植生の変遷を生態学的に明らかにするなど現地に赴かずに可能な項目について先行して調査を進める.現地調査が可能になった時点で,住民による維持管理組織を対象に,活動の来歴,生業などを通じた地域と指定物件との関係性,関係性の変遷などの調査を聞き取りにより実施する.また,それらの結果と土地利用や相観植生の変遷の関係を明らかにする.
|
Causes of Carryover |
COVID-19の流行下で遠方への出張および研究補助者の雇用が困難な時期が続いたこと.また,指定物件の類型化と解析作業に時間を要したためアンケート調査等の準備作業が現在途上にあり,それらに伴う支出が執行されていない.研究計画の進行およびCOVID-19の感染拡大状況改善に合わせて執行する計画である.
|