2021 Fiscal Year Research-status Report
文化的景観の維持管理における保存会組織の役割と指定物件の保全状況に及ぼす効果
Project/Area Number |
20K06112
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
内藤 和明 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 准教授 (50326295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山室 敦嗣 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 教授 (90352286)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 天然記念物 / 維持管理 / 管理団体 / 生業 |
Outline of Annual Research Achievements |
国指定天然記念物の保存管理において管理団体以外の管理組織(いわゆる保存会等)がどのような役割を果たしているかを明らかにするための調査を行なった.予備調査の結果に基づいて,維持管理に比較的多くの労力を要すると考えられる遷移途上の植生で,かつ異なる地方に複数の指定物件が存在するエヒメアヤメの自生地をモデルケースに選定し,管理組織の存在有無と保存管理の活動内容を電話や電子メールおよび対面による聞き取りなどによって調査した.その結果,宮崎県,佐賀県,山口県,広島県および愛媛県に分布する6か所の指定地全てにおいて管理組織が存在し,ほぼ全ての指定地において生育地の草刈り,火入れなどの植生管理が行われていること,また開花期に指定地が一般公開されておりそれらを管理組織が担っていることが明らかになった.管理組織は自治会(町内会)のような地域団体と一体になっている場合と有志の集まりで構成されている場合が存在した.エヒメアヤメ以外の指定物件に関する調査も行い管理組織の存在を確認しているが,維持管理に必要な作業内容は比較的に少ないように思われた.前述した6か所のエヒメアヤメ指定地における土地利用の来歴を空中写真により確認した結果,採草地,水田と里山マツ林に加えて,特徴的な相観植生として果樹園(ミカン畑)が認められた.特徴的な植生は指定地により異なっており,その特徴と管理組織の成り立ちとの関係の有無等について今後検討する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の流行下で聞き取り調査や現地調査が困難であったため当初の予定よりも進行が遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
国指定天然記念物の保存管理において管理団体以外の管理組織(いわゆる保存会等)がどのような役割を果たしているかを明らかにするための調査を植物を指定している物件を中心に引き続き実施し,対象物件の地理的範囲を拡大する.モデルケースに選定したエヒメアヤメの自生地については,空中写真による土地利用の来歴を引き続き調査しその変遷を明らかにする.また,土地利用の来歴と管理組織の成り立ちおよび維持管理の内容との関係について検討する.
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Causes of Carryover |
COVID-19の流行下で遠方への出張および研究補助者の雇用が困難な時期が続いたことにより関連する支出が執行されていない.研究計画の進行およびCOVID-19の感染拡大状況改善に合わせて執行する計画である.
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Research Products
(1 results)
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[Book] 景観生態学2022
Author(s)
日本景観生態学会
Total Pages
272
Publisher
共立出版
ISBN
978-4-320-05834-7