2020 Fiscal Year Research-status Report
未利用森林バイオマス資源の効率的収穫技術の開発と経済性および環境性能の評価
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20K06121
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉岡 拓如 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (00409070)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 森林バイオマス / 小径木 / 収穫技術 / 経済性 / 環境性能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,国内の人工林において除伐作業時に発生する小径木を対象に,効率的な収穫技術を検討し,その経済性と環境性能を評価することである。初年度は,2年目に予定している現地実験に向け,対象地の設定,実験に必要な機材の購入や調達に関する検討,経済性および環境性能の評価に関する情報収集を文献と現地調査により行った。 具体的には,対象地として想定した福島県内の民有林に隣接する広葉樹雑木林において,集積機能を備えた伐倒ヘッドによる小径木の収穫に関する予備実験を行い,作業時間観測により生産性を求めることで収穫コストを算出するとともに,2年目の現地実験で観測する必要のある作業内容を精査した。 成果としては,広葉樹のモデル森林を想定し,伐倒機械が作業点間を移動しながら順次伐採を進めていくシステムにおける,小径木の収穫コストを最小化する伐採列の奥行本数を検討したところ,実験に用いた伐倒機械は1列あたり最大で6本伐採することが可能であったものの,伐採する奥行本数が5本のときの収穫コストが最小となる結果が得られた。 一方,海外の先進事例に関して現地調査を予定していたものの実現できなかったため,文献を中心に調査した。環境性能の評価のために必要な温室効果ガス(GHG)排出量については,伐倒・集積・粉砕や輸送の各工程における燃料消費量に加えて,発電所でのエネルギー変換時のGHG排出量に関するデータが必要となるが,これについては富山県内の発電所に調査への協力を依頼した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に実施した予備実験において予想以上に多くのデータが得られたため,その成果をまとめ国内外のオンライン学会で発表し,学術論文として公表することができた点は当初の計画より進展している。 一方,新型コロナウイルス感染症拡大防止のために移動を制限されてしまったことにより,多くの現地調査を延期せざるを得なかったことが,当初の計画を遅らせてしまっている側面もある。
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Strategy for Future Research Activity |
現地実験そのものについては,当初の計画通り2021年度に実施できるよう手配が進んでいる。しかし,現地での作業時間観測や実験結果のとりまとめを依頼予定の協力学生との連携が初年度に思うように進まなかったため,2021年度はまず研究実施体制を確立させていくところからスタートする。 また,初年度に実施できなかった海外の先進事例の調査については,2021年度も現時点で海外への渡航の見通しが立っていないが,可能となり次第速やかに実施したい。
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Causes of Carryover |
現地調査が大幅に制限されてしまったため,初年度は本助成事業による旅費支出が発生しなかった。また,協力を依頼する学生の登校や出張も大幅に制限されてしまったため,謝金支出も発生しなかった。 旅費と謝金については今年度中に可能な限り研究を推進する中で支出していくことを予定しているものの,3年目の最終年度に使用がずれ込む可能性も十分に予想される。このため,残り2年間で研究計画を完了するべく,研究全体をマネジメントしていきたい。
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