2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on improvement of dry land plant fitness by root endophytic microbial community assembly process
Project/Area Number |
20K06126
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
谷口 武士 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 准教授 (10524275)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | メタボローム / イオノーム / 乾燥地 / 土壌水分 / 根圏微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度はアメリカ、コロラド砂漠の土壌とここで生育するキク科植物(Encelia farinosa)を用いて、異なる水分条件(土壌含水率5%と10%)、および土壌微生物を10~100,000,000倍に希釈した条件下でキク科植物をガラス室にて育成し、植物の水分状態、炭素および窒素安定同位体比について調査を行った。本年度は、これらのサンプルの根の代謝物、および葉のイオノーム解析を行った。この結果、土壌水分条件によって代謝物組成は有意に異なり、処理区間で有意に量が変化する代謝物を特定することができた。マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、トレオン酸、キシロースなどが減少する一方で、メレジトース、シトルリン、アスパラギン酸、トレオニン、イソロイシン、プロリン等の増加が認められた。イオノーム解析については、植物体中のリン、硫黄、カリウムは大きく変化しなかったものの、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、鉄は土壌が乾燥した条件下で多く認められる傾向にあった。土壌希釈実験では、土壌微生物量の多い処理区では、少ない処理区と比べ、植物体中のリンが多いことが分かった。植物体中の窒素には差が認められなかったことから、本実験では土壌微生物が植物のリン吸収に重要であり、これが植物バイオマスの違いにも反映されていたと考えられた。今後、これらの代謝物や元素と植物機能、および根圏微生物との関係について解析を進める。また、本実験で植物根(細根および主根)から分離培養した細菌および菌類については、継代培養を進めるとともに、DNA抽出用サンプルの採取を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナの影響で研究計画の変更を行い、国内での実験を中心とした内容で研究を推進している。これまで、植物形質に関する解析を主に実施してきたため、微生物群集に関する解析は今後、実施する予定である。過去にアメリカの砂漠で採取した植物根、および国内で育成した乾燥地植物の細根と主根の微生物群集に関する解析を行うためのサンプルは保存済みであるが、昨年度内にDNA抽出とシーケンスを実施できておらず、この点で進捗状況はやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策として、アメリカへの海外渡航のために計上していた予算を用いて技術補佐員を雇用することで、これまでに採取したサンプル解析を円滑に進める。また、乾燥地の植物根から分離培養した菌株が充実してきたため、本研究費での活動に加え、更なる外部資金を獲得をすることで、本研究で得られているシーズを大きく発展させたい。
|
Causes of Carryover |
新型コロナの影響でアメリカへの出張が滞り、これにかかるサンプル処理を予定通りに進めることができなかったことが一因である。次年度は、現在進行中のサンプル解析や菌株保存を推進し、最終年度としての研究成果をまとめることを最優先事項としているため、技術補佐員の雇用経費として執行する予定である。
|
Research Products
(14 results)