2020 Fiscal Year Research-status Report
針葉樹人工林の成績の違いが侵入広葉樹の群集構造と動態にどのように影響するのか?
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20K06128
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Research Institution | Hokkaido Research Organization |
Principal Investigator |
大野 泰之 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部 林業試験場, 研究主幹 (30414246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅木 清 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 准教授 (50376365)
吉田 俊也 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (60312401)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 不成績造林地 / 広葉樹 / 種組成 / サイズ構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
造成された針葉樹人工林がすべて健全に生育しているわけではない。気象害や病害などによって植栽木の多くが死亡し、成林が難しいと判断された林分も数多く存在し、このような林分は「不成績造林地」と呼ばれ、その後の管理が放棄されたものが多い。 本研究では、針葉樹人工林に生育する広葉樹の群集構造の特徴を明らかにし、不成績造林地の管理方法の検討に必要な知見を得ることを目的に、1) 侵入広葉樹の種組成タイプの抽出とサイズ構造の定量化を行い、2)それらに及ぼす人工林の成績・立地環境要因の影響を解析し、関連性を検討する。3)また、植栽木と侵入広葉樹の混交比の変化の程度を林分間で比較するとともに、侵入広葉樹の成長特性を明らかにする。 R2年度は、針葉樹人工林の多地点データ(約500林分)を用いて、北海道全域を対象に侵入広葉樹の生育実態と種組成タイプの抽出を行った。植栽木と広葉樹との混交比を相対胸高断面積(RBA)で評価したところ、広葉樹のRBAが90%以上を示す林分がモニタリング調査地の10%以上、認められた。広葉樹の胸高断面積合計(BA)は林齢との間に有意な相関は認められなかったものの、針葉樹のBAとの間に負の相関が認められた。 上述の林分から針葉樹の相対胸高断面積(RBA)が90%以下の林分を選択し、広葉樹の樹種ごとのRBAを用いて広葉樹群集を14の種組成タイプに類型化し、主要な構成樹種を抽出した。抽出された主なタイプは、ミズナラやシナノキ、カンバ類、ブナやヤチダモなどを優占種とするものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度では多地点のモニタリング調査データが整備でき、北海道の針葉樹人工林における広葉樹の生育実態を把握することができた。そのため、当初、予定した研究内容(サイズ構造の定量化や成長特性評価)への展開が図れる状況となっている。以上のことから、概ね計画通りに研究が進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初、予定している研究内容(サイズ構造の定量化や成長特性評価)を進めるとともに、調査地点の立地環境情報(気候、地形など)や天然林からの距離など、広葉樹の種組成やサイズ構造に影響する因子を整備し、解析のための準備を進める。また、長期観察を行っている試験地において再測定を行い、侵入広葉樹の動態についての研究も実施する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの蔓延により、予定していた調査、研究打合せ、学会等への参加ができなくなったために次年度の使用額が生じた。今年度は、前年度に予定していた野外調査、打合せ、学会等への参加に際し、予算を執行する計画である。
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