2022 Fiscal Year Annual Research Report
樹木の髄付近の酸素・炭素・水素同位体比分析による日単位の降水量復元
Project/Area Number |
20K06133
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
久保田 多余子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70353670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香川 聡 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40353635)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 髄 / 降水量復元 / 酸素同位体比 / 炭素同位体比 / 水素同位体比 / スギ / 年輪年代学 |
Outline of Annual Research Achievements |
樹木の成長速度は肥大方向よりも伸長方向に大きい。そこで、髄を伸長方向に分割して酸素位体比を分析することにより、日単位で降水量を復元することを試みた。 森林総合研究所苗畑(つくば市)に生育する樹高1.5-5.0m程度のスギ苗木の頂端の位置を 2020年6月から10月まで定期的にマーキングした。マーキング後、苗木を伐採し、頂端から厚さ0.5mm程度の連続木口面切片を作成した。切片の一部は抽出成分除去のために、トルエン・エタノールによるソックスレー抽出、蒸留水中での超音波ホモジナイザー処理、温水抽出を行った後、実体顕微鏡下で髄をくり抜いて、酸素・水素・炭素安定同位体比を熱分解または燃焼による方法(Hekatech HTO+Delta V または NC2500+MAT252)で測定した。伸長成長の観測データから、髄の形成時期を推定し、2020年7月8日から9月30日に形成されたと推定される髄について、酸素・水素・炭素安定同位体比データと、髄の形成時期に対応する気象データ(降水量、相対湿度、気温、放射量等)とを比較した。 頂端から10cm程度の部分である、2020年9月16から30日に形成されたと推定される髄では、髄の酸素同位体比の変動は相対湿度と比較的良く同調していた。しかし、それ以外の期間では不明瞭であった。髄の炭素同位体比は、放射量の日周期に対応すると思われる周期的変動が部分的に観測された。また、2個体で比較したところ、いずれも髄の酸素・水素同位体比は、成長期を通じて連続的に上昇し、秋に形成された髄が最も高い同位体比を示した。また、2個体の酸素同位体比は部分的には変動が同調していた。このように、髄の酸素・水素・炭素同位体比は部分的には数時間単位で気象データとの同調および個体間の同調が見られるが、長期にわたり連続して気候復元できるかは本研究の分析結果からは判断できなかった。
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Research Products
(2 results)