2021 Fiscal Year Research-status Report
Silviculture of broad leaved trees with considering new value-added wood utilization
Project/Area Number |
20K06137
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 俊也 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (60312401)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 泰之 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部 林業試験場, 研究主幹 (30414246)
大崎 久司 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部 林産試験場, 主査 (50446291)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 天然林施業 / カンバ類 / 更新補助作業 / 除間伐 / 材質 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、カンバ類が優占する若齢林、およびある程度成熟した二次林を対象に、下記の内容の研究を実施した。まず、カンバ林の成長を飛躍的に促進する管理手法(表土戻し法)について、20年生の林分で調査した結果をまとめ、この手法が林分成長を10年程度以上短縮するとともに下層の更新を著しく促す効果があることを明らかにした(学術論文として投稿中)。一方、開拓後の山火事跡地に成立した70年生程度の二次林において、シラカンバの材を利用する際の欠点となる「偽心」(材の中心に生じる不規則な着色箇所)の出現に注目し、立木調査および伐採時にサンプリングした樹木円盤の解析によって、偽心が生じやすい環境条件(樹形や周囲の立木密度)の特定と、その出現率を減少させるための森林管理方法を提示した(第133回日本森林学会で発表し、現在投稿論文を準備中)。また、この研究にあわせて、立木および材の基本的な特性(幹の細り、材質)を個体ごとに調査するとともに、クラフト材料として利用されるシラカンバの樹皮の除去試験を行い、その採集効率を高める条件を探索した。さらに、更新補助(かき起こし)作業後に成林した6年生の林分において、地上型レーザー測量(TLS)による詳細な3D計測によって、除伐が成長におよぼす影響の評価を継続している。除伐後1-2年の期間における樹形(枝の成長・枯死)の変化を定量的に示すことにより、今後、適正な除伐の方法について指針を得る予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カンバ類の育成方法を、新たな木材利用を考慮して具体的に提案する目的にむけて、新たな成果を得るとともに、初年度から開始している試験を継続して実施することができた。まず、カンバ林の育成を飛躍的に高める森林管理の方法を示し、学術論文として投稿した(年度末の時点でacceptable after minor revisionとなっている)。また、成熟した二次林で採取した材サンプルの分析を進め、シラカンバ材の利用上の欠点に係る新たな知見を示し、より付加価値の高い木材生産にむけた森林管理方法を提示する目的も達成した。この小課題および、昨年度にとりまとめた、空中写真および航空レーザー測量を基にした成林の確実性に係る解析結果については、論文投稿にむけた準備が最終段階にある。一方、若齢林における除伐の影響評価については、予定どおり除伐1年後のデータを取得しており、今後、データをまとめるとともに、2年目の影響についても調査を継続する予定である。また、利用のうえでカンバ類を特徴づける存在である樹皮についての調査も継続して実施した。いずれの小課題についても、年度内には論文化には至らなかったものの、投稿中の論文が1件あることに加え、調査・データの蓄積はおおむね計画に沿っていることから、自己評価は「おおむね順調」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も「研究実施計画」に基いて研究を推進する。昨年度までに取得したデータ・サンプルを分析して成果の論文化を進めるとともに、それらを総合的にまとめ、新たな森林の管理手法を提案する。
|
Causes of Carryover |
コロナ感染症の影響で、今年度についても野外調査・打ち合わせ等を計画通り実施することができず、また、短期雇用が限定的にしか行なえなかったため、旅費・人件費の支出が予定より減少した。これらの未使用分は、新年度の助成金とともに計画的に使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)