2021 Fiscal Year Research-status Report
Clarifying Forest-Water Interactions using environmental isotope tracers and development of element cycling analysis method
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20K06140
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加藤 弘亮 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (90732636)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 森林 / 水・物質循環 / 放射性セシウム / 天然放射性核種 / トレーサ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は,昨年度からの継続調査として,福島県川俣町及び浪江町の常緑針葉樹と落葉広葉樹林を対象に,森林の内外で雨水を採取するとともに,落葉落枝(リターフォール)と枝葉,外樹皮の採取を実施した。雨水及びリターフォールの採取は月1回程度の頻度で,枝葉等の採取は8月の1回のみ実施した。本年度も新型コロナウィルスの拡大防止の制限がされる状況のなかで、栃木県の森林での観測調査は実施しなかったが,筑波大学アイソトープ環境動態研究センターサンプルアーカイブ施設に保管されている過去に採取された樹冠通過雨サンプルを取得した。静岡県に予定していた新しい調査地点での調査を本年度も延期した。その代わりに,筑波大学アイソトープ環境動態研究センター内のスギ林を調査対象に選定し,集中的な観測体制を構築した。 採取試料は実験室に持ち帰り,前処理を行った。雨水は吸引濾過でメンブレンフィルターを通過させ,懸濁成分を分離した。植物体は炉乾燥した後に,ミルで粉砕した。処理済みの試料をU8型容器に封入し,ゲルマニウムガンマ線検出器を用いてガンマ線放出核種を測定した。Pb-210の定量分析は、福島原発事故の影響が少ない栃木県佐野市で採取した試料を対象に実施した。福島県の調査サイトで採取した試料について,化学処理によって福島事故由来の放射性セシウムを除去または低減させる方法をレビューした。 令和3年度までの観測データをとりまとめ,調査森林における水収支と林床へのリターフォール堆積速度を算出した。さらに樹冠から林床へのCs-137及びPb-210の沈着フラックスを定量化した。また,雨水及び枝葉の放射性核種濃度を比較することにより,雨水への移行係数を算出した。以上の研究成果の一部について,日本原子力学会秋の大会(2021年9月、オンライン)及び第132回日本森林学会大会(2022年3月、オンライン)において口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
既存の調査森林サイトにおける観測及び試料の放射性核種分析が予定通りに進捗している。一方で,栃木県佐野市及び静岡県静岡市に予定していた新規調査サイトの設置作業が遅延している。それらの遅れを補完するため,栃木県の森林サイトについては,筑波大学アイソトープ環境動態研究センターサンプルアーカイブ施設に保管されている過去に採取された樹冠通過雨サンプルを取得し,天然放射性核種の分析を開始した。一方,静岡県の森林サイトの代わりに,筑波大学構内のスギ林で水文観測体制を構築し,雨水等のサンプリングを開始した。採取試料の放射性核種分析は今後実施予定である。福島県の森林サイトで採取した試料について,福島原発事故由来の放射性核種のバックグラウンドの影響により天然放射性核種濃度の定量分析が遅延している。雨水及び植物体試料から放射性セシウムを選択的に除去する手法の確立に時間がかかっているが,先行研究のレビューにより定量分析の筋道が立った。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は,昨年度に引き続き,福島県の調査森林サイトにおいて雨水やリターフォールを1ヶ月に1回程度の頻度で,枝葉は年1~2回程度の頻度で現地サンプリングを実施する予定である。また、降水時の時系列データを取得するため,雨水を任意の間隔で分離して採取できる装置を設置した集中観測を実施する。栃木県の森林サイトについては現地調査は実施せず,筑波大学アイソトープ環境動態研究センターサンプルアーカイブ施設に所蔵されている過去の雨水試料を取得し,放射性核種分析を実施する予定である。また,本年度に筑波大学構内に設置したスギ林サイトでの観測を継続し,他のサイトの観測データと比較する。福島原発事故による初期沈着量が多い福島県の森林サイトにおいては,ガンマ線分析における事故由来の放射性セシウムのバックグラウンドの影響を除去するために,放射性セシウムを選択的に吸着するフィルターを用いた分離方法を確立する。福島県の森林サイトで採取した試料について,Pb-210をはじめとする天然放射性核種の定量分析を進める。以上の観測データに基づいて,大気から樹冠に沈着した放射性核種の遮断率を算出するとともに,樹冠から雨水への溶出率(濃度比)や樹冠から林床への移行速度の解析を実施する。また,放射性核種分析に加えて水の安定同位対比を分析し,それらの濃度情報も含めた総合解析を実施する。さらに,林床に到達した雨水の土層中での選択的浸透過程について解析行う。以上の観測・分析データを統合し,大気から樹冠,そして土層へつながる放射性核種の動態解析の結果をとりまとめる。その成果の一部を,ヨーロッパ地球科学連合年次大会(2022年4月),日本原子力学会秋の大会(2022年9月),及び第133回日本森林学会大会(2023年3月)で発表する。
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[Journal Article] Vertical distribution and transport of radiocesium via branchflow and stemflow through the canopy of cedar and oak stands in the aftermath of the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant accident2022
Author(s)
Saidin, Z.H., Levia, D.F., Kato, H., Kurihara, M., Hudson, J.E., Nanko, K., Onda, Y.
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Journal Title
Science of The Total Environment
Volume: 151698
Pages: 1-12
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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