2023 Fiscal Year Annual Research Report
強度間伐による生物多様性と生態系機能の向上はいつまで持続するのか
Project/Area Number |
20K06143
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
城田 徹央 信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (10374711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡野 哲郎 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (00194374)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 強度間伐 / 生物多様性 / 低木種 / 光環境 / ヒノキ人工林 / 樹形 / 種生態学 / 群集生態学 |
Outline of Annual Research Achievements |
①従来の20m四方の固定プロットの調査を実施し,ヒノキの成長が持続していることを確認した。一方で,低木層の個体は成長したものの葉群の発達はなく,一部の個体の枯死によりバイオマスの増加はほとんど認められなかった。過去のデータを見ると間伐後15年から20年の間に効果は失われたと結論された。 ②幅10m長さ120~140mのベルトプロットを設置した。斜面の中央で,また斜面方位が東側で,林内照度とバイオマス量が増える傾向が認められた。その結果,間伐効果の持続性に空間的な不均一性が伴うことが考えられた。 ③上記プロットにて林床の14種の出現パターンを比較した。比較的全域に分布するムラサキシキブやサンショウから構成されるタイプAと,比較的明るいところに集中するクロモジを代表的な種とするタイプBに分かれた。タイプBは明るいところを選好し,かつ明るいところでは急速に成長できる競争型の樹形を示す。これに対し,タイプAは光環境に左右されずに出現することができるため,タイプBが利用しない暗い環境を占有できる。下層植生のバイオマスの中核を担うのはタイプBかもしれないが,タイプAは強度間伐の有効期限を巡演している種といえる。 ④タイプAのムラサキシキブが暗い環境を生き抜く能力について,樹形形成プロセスの計測に基づいた考察を行った。ムラサキシキブはChanpagnat(シャンパーニュ)と呼ばれる樹形パタンを示すことが明示された。すなわちしなだれた幹の内側から直立枝を出し,それがしなだれてくることで斜面下部に折重なる樹形を形成する。このとき必ず古い枝に新しい枝がかぶさるので,枝のリフレッシュが起きやすい。結果的に葉群同士の重なりを避け,効果的に光を吸収できる。 ⑤通常強度の間伐(30%)では広葉樹の更新が制限されスズタケの更新が促進された。生物多様性は損なわれたが,バイオマスは高く維持された。
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Research Products
(6 results)