2020 Fiscal Year Research-status Report
地表被覆の断熱機能からみた永久凍土都市の凍土安定性ー凍土を守る土地利用の探求
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20K06145
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小谷 亜由美 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (80447242)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 植生凍土相互作用 / 永久凍土 / 植生被覆 / 土地利用変化 / シベリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、気候変動の影響に加えて人間活動による永久凍土の荒廃・後退が懸念されている東シベリア森林地域の都市周縁域における、都市的土地利用および攪乱程度の異なる植生地の凍土保護機能を地表被覆の断熱効果の評価を通して、凍土への影響を最小限に抑えて必要な都市活動を維持する凍土保全策の探求を目的とする。2020年度は、以下の2点を中心とした成果が得られた。 1)対象地域の凍土植生情報とそれに影響を及ぼす土地利用について、文献とロシアの共同研究者からの情報収集に基づき調査した。凍土活動層の熱収支に影響を及ぼす植生被覆の季節動態およびその年変動について、(英語化されていない)ロシアの研究成果をもとに、対象地域の森林を中心にの立地や遷移段階の異なる植生地における、活動層の凍結融解過程の情報を整理した。また、森林での人間活動のうち植物採取に注目し、対象地域での採取活動に関する社会状況等を、文献や行政資料、現地研究者からの情報収集により調査した。 2)人為影響の小さい森林として比較対象とするサイトにおいて、これまでに得られている地温データの解析より、地表植生の変化のある過去20年では、植生変化による地表断熱効果に加えて土壌水分の変動が活動層の融解凍結過程の年変動と関係することがわかった。温度計測に基づく地表断熱効果の評価は、被覆厚と測定深度の関係に不確実性が残り検討が必要であるが、年変動をとらえるには適していると考えられる。来年度以降に実施可能であれば、人間活動の影響のある植生地においても、活動層地温の観測を行い比較する。このための計測機器の準備をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ロシアでの現地調査と観測機材の輸送ができないことにより、申請時の年次計画に記した項目は実施できていない。研究期間内にも状況の変化が期待できないため、現地調査を中心とする実施内容を変更する必要があると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も現地調査を実施する見通しが立たないため、引き続き,文献と現地共同研究者からの情報収集により対象地域の凍土・植生情報と凍土保全対策等の状況を調査する。来年度の渡航可能性を考慮しながら、現地共同研究者と実現可能な調査計画を検討し準備する。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染症対策の影響でロシアへの渡航ができなかったため、計画していた旅費を執行しなかった。次年度以降の状況も不明であるが、渡航が可能になったら繰り越した経費により人数あるいは日程を増やして、初年度にできなかった調査も合わせておこなう。
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