2022 Fiscal Year Research-status Report
地表被覆の断熱機能からみた永久凍土都市の凍土安定性ー凍土を守る土地利用の探求
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20K06145
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小谷 亜由美 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (80447242)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 永久凍土 / 土地利用 / シベリア / 地表面熱収支 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、気候変動の影響に加えて人間活動による永久凍土の荒廃・後退が懸念されている東シベリア森林地域の都市周縁域における、都市的土地利用および攪乱程度の異なる植生地の凍土保護機能を地表被覆の断熱効果の評価を通して、凍土への影響を最小限に抑えて必要な都市活動を維持する凍土保全策の探求を目的とする。 2022年度には、対象地域の都市周辺域の土地利用と凍土保全への取り組みについて、文献やインターネット経由で得られる情報収集を続け、対象地域の凍土活動層の熱収支に影響を及ぼす植生被覆の季節動態およびその年変動について、伝統的な土地利用(牧畜や耕作など)と都市的な土地利用から凍土熱動態(活動層の凍結融解過程など)への影響に関する情報を収集整理した。ロシアでの現地調査が実施できていないため、文献調査により、異なる土地被覆における活動層厚、土壌水分、地温プロファイル、地上植物量、林床植物量、土壌有機物層厚などの情報を収集し、熱伝導特性の文献値と合わせて、季節融解層の計算に用いた。土地利用変化の影響を評価するための空間分布情報について、道路延長と周辺景観の解析結果(2021年度に実施)を参照とした土地被覆分類から、土地利用図の作成を試みた。さらに、東シベリアから続く永久凍土の分布南限であるモンゴルの森林地域における植生被覆と地中熱環境との比較を検討し、これらのデータをもとに、異なる凍土環境下の森林凍土保護機能を評価することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ロシアでの現地調査および機材の輸出の見通しが立たないため、研究方法を変更して入手可能なデータや解析方法を検討を続けたが、そのとりまとめや成果発表が残っている。それとともに、植生被覆と地中熱環境の調査地を検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた観測データおよび文献調査で得られたた様々な土地被覆の凍土・植生情報を用いて、断熱効果指標と凍土森林情報との対応関係を明らかにして非攪乱の森林生態系と比較する。土壌中の熱・水の鉛直輸送と合わせて季節融解深を計算し、地表被覆変化による凍土保護機能への影響を評価する。さらに、今後の土地被覆変化の時空間分布を想定して、対象地域の活動層深化パターンを推定する。
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Causes of Carryover |
ロシアへの調査渡航が実施できなかったため、海外旅費を使用せずに残し次年度の使用額とした。本研究課題の目的に適う調査地の変更先としてモンゴルの共同研究機関との調整を行っている。
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