2023 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子破壊手法を用いた外生菌根菌ホンシメジの共生メカニズムの解明
Project/Area Number |
20K06148
|
Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
泉津 弘佑 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (20579263)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 外生菌根菌 / GH115 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間全体を通じて、まず菌根性担子菌および腐生性担子菌の大規模な全ゲノム比較を行い、外生菌根共生に重要と考えられる遺伝子群の探索をおこなった。その結果、腐生菌が共通して保有している遺伝子群を外生菌根菌が共通して欠損していることを見出した。その多くは、Glycoside Hydrolase ファミリーに含まれる分泌型の植物細胞壁分解酵素であり、外生菌根菌の進化においては「植物への攻撃性」を失うことが重要であったことが強く示唆された。そこで、アグロバクテリウム法を用いて、腐生菌由来のGH115(Glycoside Hydrolase 115)を外生菌根菌ホンシメジに導入した菌株を作出した。さらに、共生状態を可視化するために、ホンシメジ由来のActinプロモーター制御下で蛍光遺伝子mCherryを発現させるベクターをホンシメジ野生型株に導入した。その結果、遺伝子組換え体の作出に成功し、蛍光顕微鏡において赤色蛍光を初めて確認できた。そこで、これらのGH115導入株、mCherry導入株およびコントロールとなる野生型株を用いて、宿主植物アカマツとの共生を試みたが、共生試験が安定しないことから、現在も引き続き解析を続けている。最終年度はさらに、子嚢菌の外生菌根菌であるセノコッカム(Cenococcum geophillum)についても宿主であるクロマツとの共生試験および遺伝子組換え試験を試みた。その結果、非常に安定的に共生試験を成功させることができたが、遺伝子組換え体の作出には至っていない。
|