2020 Fiscal Year Research-status Report
Vanillin-based high performance aromatic bioplastics
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20K06159
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
榎本 有希子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (90726530)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ジバニリン酸 / ポリアミド / バイオプラスチック / 高耐熱性 / フィルム / スーパーエンジニアリングプラスチック |
Outline of Annual Research Achievements |
石油資源枯渇への懸念や廃プラスチック問題、温室効果ガスなどの環境問題が注目されており、植物などのバイオマス資源を原料としたバイオプラスチックや生分解性プラスチックの開発が求められている。バイオマスプラスチックは未だ種類が少なく、石油由来のプラスチックと比べて物性の改善が必要などの課題が残っており、高い耐熱性や力学特性を有する新たなバイオプラスチック材料の開発が求められている。プラスチックに高耐熱性や高物性を付与するためには剛直な構造を有する芳香族化合物をモノマー単位とすることが有効であると期待される。そこで本研究では、バイオマス由来の芳香族化合物であるバニリン酸を原料に用いた新規芳香族バイオマスプラスチックの開発を目的とした。今年度は、バニリン酸を酵素により二量体化して得られるジバニリン酸を構成単位とするバイオベースポリアミドの合成を行った。まず、ジバニリン酸の水酸基に対し、炭素数の異なるアルキル側鎖を導入した種々のモノマーを合成した。これらのモノマーと種々の芳香族アミン化合物との重合を行い、ポリアミドを合成し、分子量や熱特性、機械特性を解析した。熱特性解析の結果、これらのポリアミドは非晶性のポリマーであり、240-300℃のガラス転移点を示し、既存の石油由来スーパーエンジニアリングプラスチックに匹敵する高い耐熱性を示すことがわかった。さらに、これらのポリアミドのガラス転移点は、ジバニリン酸ユニットの側鎖の長さが短いもので高く、長いもので低くなるなど、化学構造による熱特性の制御も可能であった。これらのポリアミドからキャストフィルムおよび熱溶融フィルムを作製することにも成功し、さらに材料として十分な強度を有していることがわかった。以上から、ジバニリン酸ベースのポリアミドが新規の高耐熱性スーパーエンジニアリングバイオプラスチックとして有望であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ジバニリン酸を用いた新規のポリマーの合成に成功し、その熱特性が優れていることを明らかにしたのみならず、その成形加工や機械特性評価も行うことができた。当初の計画以上に順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
成形加工性の向上のため、側鎖の長さの異なるジバニリン酸ユニットを様々な比率で組み合わせた共重合体のポリアミドの合成を試みる。また、さらなる高耐熱性高強度の付与を目指し、ポリアミド以外の新たなポリマー合成にも着手する。
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Causes of Carryover |
予定していた出張や学会参加を取りやめたことなどで支出額が減った。来年度はオンライン参加の学会の参加費などで支出予定である。原料化合物の大量購入などで次年度使用額を使用する予定である。
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