2022 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体処理パルプを活用した環境調和型内添用製紙薬剤の創製
Project/Area Number |
20K06167
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
市浦 英明 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 教授 (30448394)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イオン液体 / 製紙薬剤 / 紙 / 乾燥紙力強度 / 湿潤紙力強度 |
Outline of Annual Research Achievements |
イオン液体として1-ブチル-3メチルイミダゾリウムクロライド([BMIM])を用いた。今年度はイオン液体回収条件が、回収([BMIM]の性能におよぼす影響を検討した。 室温[BMIM]処理に使用した回収[BMIM]処理パルプ添加シートの乾燥・湿潤強度はそれぞれ4.08 kN/m・0.22 kN/mであるのに対し、加熱処理に使用した回収[BMIM]は2.61 kN/m ・0.12 kN/mであった。これより、室温[BMIM]処理に使用した回収[BMIM]の乾燥・湿潤強度が増加した。 加熱処理におけるバージン[BMIM]の乾燥・湿潤強度に対する回収[BMIM] 乾燥・湿潤強度の低下率は、それぞれ54%・76%であった。一方、室温処理の場合の乾燥・湿潤強度の低下率は、それぞれ31%・24%であり、紙力強度の低下率が減少した。これらの結果は、[BMIM]処理を室温で行うことで回収[BMIM]のセルロース溶解能低下が抑制された結果と考えられる。 今年度は加熱しない処理方法として、ゼオライト脱水法および再結晶法を検討した。ゼオライト脱水法は、ゼオライトを用いて、イオン液体中の水分を吸収させる方法である。再結晶法は純度の高いイオン液体を生成させる方法である。加熱脱水法によって回収した[BMIM]を使用した場合の乾燥強度および湿潤強度は、それぞれ3.34 kN/m 0.15 kN/mであった。一方、ゼオライト脱水法および再結晶法によって回収した[BMIM]の乾燥強度・湿潤強度は、それぞれ4.71 kN/m・0.18 kN/m、4.49 kN/m・0.20 kN/mであり、加熱脱水法と比較して、乾燥・湿潤強度が増加した。 加熱せずにパルプをイオン液体で処理し、加熱せずにイオン液体を回収することにより、回収イオン液体の性能を維持できることが明らかとなった。
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