2021 Fiscal Year Research-status Report
バイオ炭の二酸化炭素貯留量算出に用いる国内基準データの作製
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20K06168
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
栗本 康司 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 教授 (60279510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 栄 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 准教授 (50404851)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | バイオ炭 / 工業分析 / 炭素貯留 / 木炭 / 竹炭 / もみ殻炭 |
Outline of Annual Research Achievements |
バイオ炭による炭素貯留効果を算出する算定式がIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)の改良報告書に記載されるとともに、J-クレジット制度においても「バイオ炭の農地施用」に関する方法論が策定されている。 現在、炭素貯留量の算出には、施用するバイオ炭の標準値を用いているが、日本においてはJIS M 8812に従って測定した工業分析値を炭質の評価に用いてきた経緯から、本研究では公定法であるJIS法で得られた測定値を用いて炭素貯留量を見積る手法を検討している。 昨年度は、針葉樹炭(アカマツ)、広葉樹炭(コナラ)、タケ炭に対して実施した工業分析、元素分析、無機炭素分析の結果から、工業分析値(固定炭素、揮発分)を用いてバイオ炭の調製温度および有機態炭素量を推定する換算式を得た。また、工業分析の固定炭素から炭素貯留量を見積るための係数を求めることもできた。 本年度は、産地と品種の異なったもみ殻(10種)を試料に、異なった炭化温度でもみ殻炭を調製して、工業分析、元素分析、無機炭素分析を行うとともに、工業分析で評価した固定炭素から炭素貯留量を見積るための換算式を得た。 こうした研究成果から、炭窯や簡易製炭炉等で調製したバイオ炭のJISに基づいた炭質指標と炭素貯留量の関係が明らかになりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
木材、竹材、もみ殻を炭材に標準となるバイオ炭を調製するとともに市販炭を収集して解析を進めた結果、工業分析値を用いて炭材が異なってもバイオ炭の調製温度および有機炭素を推定する換算式を得ることができた。更に、IPCCの改良報告書に定める100年度の炭素貯留量(Fperm)も工業分析値を用いて推定する換算式を得た。 以上の研究成果から、公定法(JIS M 8812)で求めたバイオ炭の炭質指標と炭素貯留量の関係を明らかにすることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、バイオ炭の原材料やガス化炉など調製方法のバリアーションを増やし、JIS測定値に基づく炭素貯留量推定の適応範囲を明らかにするとともに、本手法の信頼性を高める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの発生状況により予定していた研究計画を一部修正した。本年度では計画を修正し、予算を適切に使用する予定である。
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