2022 Fiscal Year Research-status Report
Study on the mechanism of recruitment fluctuation of the Japanese surf clam Pseudocardium sachalinense
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20K06190
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
櫻井 泉 東海大学, 生物学部, 教授 (30505061)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ウバガイ / 加入量変動 / 水温 / 産卵期 / 浮遊幼生 / 水塊構造 / 流動 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウバガイの加入量変動機構解明の一環として、北海道苫小牧沿岸において成熟状況と産卵期を生殖巣指数により推定し、その年変化と稚貝発生量および水温の関係を調べた。また、ウバガイ浮遊幼生の分布と水塊構造および流動の関係を解析した。その結果、産卵期は、2014年と2018年は6~7月、2020年と2022年は5~6月のそれぞれ2か月間であったのに対して、2015~2017年、2019年および2021年は6月の1か月であった。そこで、指数のピーク値を配偶子形成量とみなし、稚貝発生量との関係を解析した結果、稚貝発生量は配偶子形成量の多寡とは無関係であることが示唆された。また、7月の指数減少率が高い年ほど稚貝発生密度は高くなる傾向がみられ、稚貝発生量は産卵期が7月まで及んだ時に多くなることが示された。さらに、生殖巣が発達する10~4月と産卵期を迎える5~7月の積算水温について指数のピーク値と産卵期の長さとの関係を解析したところ、10~4月の積算水温が低い年ほど配偶子形成量は多くなるとともに、5~7月の積算水温が低い年ほど産卵期が7月まで延びることが示唆され、これらは昨年度の飼育実験の結果と矛盾しなかった。一方、2022年の浮遊幼生は、7月上旬にはサイズによらず全体的に分布したが、7月下旬から8月上旬には殻長0.24mm以下の浮遊幼生が一部の水塊に出現したものの、殻長0.24mm以上の成熟期幼生はほとんど認められなかった。また、成熟幼生の出現に関係する1025.5kg/m3以上の水塊は調査期間中ほとんど存在せず、流動も北~北西方向の流れが卓越していた。さらに、2022年は本種稚貝の発生も検出されなかった。これより、2021年に引き続き2022年も稚貝発生がみられなかったのは、産卵期が7月まで延長しなかったことに加えて浮遊幼生が存在しにくい環境であったことが関与していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に掲げた3つの課題、①水温・餌料条件が母貝の成熟状態と産卵期間の長さに及ぼす影響の評価、②水温・塩分・餌料・流動条件が浮遊幼生の分散や生残に及ぼす影響の評価、③成熟・産卵期と浮遊幼生期の環境条件が加入量の年変動に及ぼす影響の評価について、すべての項目について実施し、当初の計画どおりデータが得られている。また、2021年度までは産卵期の長期化が稚貝発生につながる旨の仮説を提唱していたが、2022年度の成果により産卵期が7月まで延長することが稚貝発生につながることが示唆され、これまでの仮説をより具体化することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究はウバガイの成熟・産卵状況、浮遊幼生の動態および稚貝の発生状況を5年間調査し、これらを環境要因との関係で解析することにより本種の加入量変動機構の一端を解明しようとするものである。このため、次年度以降も引き続き本年度と同様の調査および解析を実施する予定であり、単年度ごとに得られた成果を学会発表するとともに、最終年度を目処に総括的な結果を論文発表する計画である。
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Causes of Carryover |
当初は産卵期調査と浮遊幼生調査に係る用船費用を見込んでおりましたが、調査協力機関の苫小牧漁業協同組合に負担いただけることとなったため、余剰金が発生し、次年度使用額が生じました。余剰金につきましては、当初の見込みより費用が嵩んでしまった電磁流向流速計およびクロロフィル濁度計のバッテリー購入費に充てたいと考えています。
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Research Products
(2 results)