2021 Fiscal Year Research-status Report
高品質真珠生産へ向けて-挿核前の母貝の免疫抑制が真珠形成に与える影響解明
Project/Area Number |
20K06204
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
佐野 菜採 三重大学, 生物資源学研究科, 学術研究員 (50636545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古丸 明 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (10293804)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 真珠養殖 / RNA-seq / 貝殻形成タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
真珠養殖では,母貝を挿核前に過密飼育する等して生理状態を抑制し,挿核に適した状態にする「仕立て」が行なわれている。本研究はこの「仕立て」を免疫抑制としてとらえ,その指標にアコヤガイの血リンパ中のガレクチン量を提示できるかを検討するものである。 しかし,令和2年度にガレクチンが指標とならないことが明らかとなったため,外套膜膜縁部(ME部)の遺伝子発現を比較するために,仕立てを行っていない3個体と仕立てが完了した3個体のRNA-seq解析を行い,発現変動遺伝子(DEG)抽出を行い,DEGのリアルタイムPCRによる定量を行い,変動を確認した。 令和3年度は同様のサンプルセットで外套膜縁膜部(MP部)の本年度は3個体のRNA-seq解析を行い,発現変動遺伝子(DEG)抽出を行なった。その結果,ME部より多くのDEGを抽出することができた。得られたDEGに関して,「仕立て」の有る無し,挿核後の日数での変動をqPCRで測定した。その結果,2個の遺伝子で「仕立て」の有る無し,で発現量に有意な差があった。さらに,これらの遺伝子に関して,血球や真珠袋でもqPCRを行ったが,「仕立て」による差は認められなかった。また,一連の実験に使用したアコヤガイで形成された真珠に関してそのシミ・キズの有無を「仕立て」の有る無しで比較した。その結果,過去の報告と同じように「仕立て」によるシミ・キズの軽減が認められ,使用したアコヤガイの「仕立て」が問題なく行われたことが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
推定していたガレクチンに代わる「仕立て」の指標をRNA-seqとqPCRにより探索し,外套膜での発現が「仕立て」の有る無しで有意な差がある遺伝子を明らかにできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
RNA-seqとqPCRにより明らかになった遺伝子の中で,アコヤガイでも酵素として報告されているタンパクにつき,活性の測定を試み,「仕立て」の有無での活性の差を測定する。
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Causes of Carryover |
参加予定であった国内外の学会等がコロナで中止やウェブ開催になったこと等で次年度使用額が発生した。次年度での遺伝子発現解析等に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)