2023 Fiscal Year Research-status Report
中・漸深層における仔稚魚の形態および生態に関する研究
Project/Area Number |
20K06214
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
高見 宗広 東海大学, 海洋学部, 講師 (70835933)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 中深層 / 漸深層 / 仔稚魚 |
Outline of Annual Research Achievements |
22年度実績報告書の今後の研究推進方策で述べた通り,23年度は所属組織の仕事としてアメリカ合衆国カリフォルニア州のモスランディングにあるモントレー水族館研究所(MBARI)に出張で1年間滞在していた.そのため,本研究を進めることはできなかった.しかし,副次的にMBARIに保管されていたモントレー湾の中深層でROVによって撮影されたソコダラ科稚魚の動画と標本を発見した.この標本は,計数形質と分布からNezumia stelgidolepisに同定された.本種の稚魚期は,Iwamoto (1979)によってすでに報告されているが,その標本はネット採取によって破損しており,今回観察された生時の形態的特徴とは大きく異なっていた.本標本を,本研究の目的の一つである「知見の乏しい仔稚魚の形態発育の解明」の一つとして利用する.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
20年度および21年度はコロナ禍による調査の制限,23年度は海外出張で1年間アメリカに滞在し本研究を実施できなかったなどが重なり大幅に遅れている.
|
Strategy for Future Research Activity |
22年度までに中漸深層における層別採集調査は確立されてきたものの,中漸深層における仔稚魚の生息密度が低いことも相まって,コロナ禍を主な原因とする過去2年間の研究の遅延を取り戻すには至らず,加えて2023年度の1年間は,海外出張中のため本研究を進めることができなかった.本研究の5つの主目的のうち2020年度から2023年度で終了する予定であった「中漸深層の仔稚魚相の把握」および「知見の乏しい仔稚魚の形態発育の解明」を現在も進めている状況であり,最終年度である2024年度中に残りの主目的である「食性,成長,産卵数を含めた初期生活史の解明」,「分布水深,形態,食性,産卵数の関係性から生存戦略の一般則を見出す」および「中漸深層における仔稚魚の成育場としての機能の解明」を達成するのは困難である.従って,最終年度は,「中漸深層の仔稚魚相の把握」および「知見の乏しい仔稚魚の形態発育の解明」に注力し,その充実を図る.2022年度の調査では,800-1000 m層には仔稚魚が少なく,500-700 m層から多くの仔稚魚が得られたことから,2024年度は500-700m層を中心に調査を実施する.また,3層同時採集にも着手し,より採集努力量を高めるとともに,詳細な水深ごとの仔稚魚相の把握を進める.それらで得られた標本に加え,調査海域が異なるがMBARIに保管されていた動画の中から発見された中深層で撮影されたソコダラ科仔稚魚の形態も含めて「知見の乏しい仔稚魚の形態発育の解明」を行う.また,種数は限られると思われるが,ノコバイワシなどの形態発育を明らかにできた種の食性,成長,産卵数の把握も進め,可能な限り初期生活史の解明をすすめることで,各種ごとの生存戦略の一端を見出す.
|
Causes of Carryover |
「理由」 23年度は海外出張中で使用できなかったため. 「使用計画」3層同時曳網を実施するための追加の採集機材の購入に使用とともに,調査回数の増加に伴う調査機材の損耗や,サンプル瓶や保存液の消耗の増加に応じて使用する.
|