2020 Fiscal Year Research-status Report
鰓上皮細胞通過時間によるウイルス性出血性敗血症ウイルスの病原性評価
Project/Area Number |
20K06218
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
伊東 尚史 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水研機構(南勢), 副部長 (70372050)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | VHSウイルス / 病原性 / 鰓上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本来は海外協力研究者であるデンマーク工科大学のオーレセン教授より実験系を導入する予定であったが,新型コロナの影響により海外出張が出来なかったため,先ず文献等を基にVHSウイルスが鰓上皮細胞を通過する時間を測定する実験系を導入した。次いで当初の計画通り淡水魚としてアマゴ,海水魚としてマダイに対し遺伝子型の異なる13種類のVHSウイルスの病原性を感染試験により調べた。アマゴへの試験おいて,陽性対照魚種であるニジマスでは遺伝子Ia型で50%の累積死亡率を示したが,アマゴのIa型の累積死亡率は10%であった。そこで,ニジマスとアマゴの鰓上皮細胞におけるIa型 VHSウイルスの通過をウイルス接種0,2,6,24,48,72時間後で調べたところ,ニジマスでは48及び72時間後では検出用のEPC細胞で細胞変性効果(CPE)が観察されたが,アマゴでは72時間後でもCPEは観察されず,アマゴの鰓上皮細胞はニジマスのそれにIa型VHSウイルスの通過時間が遅いことが示唆された。つまりニジマスとアマゴでは毒性を示すウイルス型と鰓上皮細胞のウイルス通過時間との間に関連性のある可能性が推察された。なお,マダイではいずれの遺伝子型でも死亡は観察されなかった。さらに世界的にVHSウイルスの診断に用いられているモノクローナル抗体(IP5B11抗体)のエピトープを他のラブドウイルスの次世代シーケンサーによるフルゲノム解析と合成ペプチドのドットブロット法により明らかにした。 なお,担当者は異動のため本課題の遂行が困難となったため,令和2年度のみで廃止することとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究を実施する上で基礎となる実験系を導入することができ,淡水魚及び海水魚各1魚種に対する各遺伝子型VHSウイルスの病原性を感染試験により調べ,アマゴでは遺伝子型の病原性とウイルスの鰓上皮細胞におけるウイルスの通過時間との間に関連性がある可能性が示唆された。さらに年度計画にはなかったが世界的にVHSウイルスの診断に用いられているモノクローナル抗体(IP5B11抗体)のエピトープを解析し,論文投稿を準備中である。これらのことから予定以上に進展したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題は担当者の異動のため継続困難となったため,廃止することとなった。
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