2021 Fiscal Year Research-status Report
吸虫の被嚢幼虫寄生はブダイ科魚類の性転換を阻害するか?
Project/Area Number |
20K06219
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
下瀬 環 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(横浜), 主任研究員 (70524792)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヒブダイ / 寄生虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、対象種に設定したヒブダイの性転換現象に着目しているため、雌雄ともに必要数の標本を確保することが最も重要である。本年度は前年度に引き続き、八重山海域でヒブダイを多く漁獲する漁業者4組に、詳細な漁業情報をともなったヒブダイ標本の収集を依頼した。10月から3月が主な漁期であるが、10月に1回7個体、12月に3回31個体、1月に1回14個体の計5回、52個体の標本を収集できた。過去にヒブダイを特に多く漁獲していた漁業者2組が、本漁期にほとんど漁に出られなかったことから、標本の収集数は大きく制限され、本年度に収集したヒブダイ52個体のうち雄は2個体のみであった。 収集したヒブダイ標本はすべて生鮮状態で研究所に送付してもらい、標準体長、尾叉長、全長、体重などの魚体基礎情報を記録した。また、全個体で、頭部、胴部、尾部、胸鰭、腹鰭、背鰭、臀鰭、尾鰭へのスカファノケファルス属寄生虫の寄生数を記録し、鱗を剥がした後にも体側への寄生数を計数した。これらの寄生数は左右別々に記録した。本研究で対象としている寄生虫であるスカファノケファルスは、黄色い点状のふくらみとなるが、同様に黒い点状斑についても観察されたため、数例記録した。標本は全個体を解剖して、性別と成熟度判定のために生殖腺を摘出、計量、保存した。また、栄養状態を簡易的に知る指標として、肝臓重量、内臓除去重量も記録した。さらに、年齢査定のために耳石を摘出し、乾燥・常温で保存した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
遠隔地から漁業者への標本収集依頼や直接的な標本購入が困難になったことおよび、コロナウイルスや軽石の影響で操業が制限され、水揚げが大きく減ったことが主な原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、詳細な漁業情報を伴ったヒブダイの標本を十分数集めることが最も重要である。標本群が年をまたぐ影響はほとんどないと考えられるため、焦らずに2022年度も必要な標本収集を継続する。また、2021年度から2022年度に延期された国際シンポジウムもさらに2023年度に延期されたことから、研究期間の延長も考えている。
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Causes of Carryover |
調査地において操業日数が制限されたことにより水揚げが減り、必要数の標本を購入することができなかったため、物品費の未使用が生じた。また、2021年度に予定されていた国際シンポジウムが延期になったため、旅費の未使用が生じた。2022年度に購入する標本数を増やす予定である。
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