2020 Fiscal Year Research-status Report
沿岸浅海域での局所的地形変化に起因する乱流物質輸送に関する数値的・実験的研究
Project/Area Number |
20K06220
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
古市 尚基 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水研機構(神栖), 主任研究員 (70588243)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 沿岸浅海域 / 地形変化 / 物質輸送 / 乱流数値計算 / 水理模型実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋における流動変動は漁場形成の重要要因の一つであり、例えば、沖合から沿岸域まで様々なスケールで海洋流動の数値モデルの情報を用いて水産種の生活史に関わる研究が進められている。今日、地球温暖化によって海水温・水位・波浪等の条件が将来的に著しく変化してしまう可能性が指摘されており、水産物への影響評価や適応策検討の上で漁場海域での流動特性を適切に把握・予測することは必要不可欠の課題である。 本課題では、浅海域での小規模の海底地形変化が流動変動に及ぼす影響に注目する。浅海域では、砂浜域でのバー構造などの局所的な地形変化と波・流れ場との相互作用によって砕波・乱流過程が活発となり、それに起因する流動の変化が物質や卵稚仔輸送に大きな影響を及ぼすと考えられるが、その一方で、多様な外力条件の影響のため、輸送機構の実態把握のための現地調査は困難である。本研究は、高解像度の乱流数値シミュレーション手法ならびに水理模型実験手法を用いて理想化・単純化された条件下での検討を実施し、(1)浅海域の局所的な地形変化が鉛直断面上の流動・物質輸送に及ぼす影響を解明する、(2)得られた高解像度の乱流計算・実験結果との比較を通じて、既往の海洋流動モデルにおける鉛直方向の輸送効果の表現(定式化)に関する検証・改良を行うことを目的とした。 令和2年度(初年度)、非静水圧条件下での乱流数値シミュレーション手法を用いた実験システムの構築・整備を行い、浅海域での砕波過程に関する試計算を行なった。利用可能な過去の実験的知見との比較を通じて、計算の妥当性を確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度、乱流数値シミュレーション手法によって浅海域での砕波過程に関する試計算を行なった。一方で、当初計画では令和2年度にモデル検証のための新規の水理模型実験を実施予定であったが、実験水槽使用のためのスケジュール調整が困難となったため、次年度(令和3年度)に計画・該当予算を繰り越し、実施する計画である。数理模型実験の計画が繰り越される一方で、初年度の重要目的である数値手法の構築・整備を進めることができたことを踏まえ、計画が「(2)概ね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度の計画で有効性を検証した数値モデルを用いて、作用外力条件、バー構造、海底地形勾配などを変化させた計算を重ねる。海底地形変化周辺での物質の輸送・集積やその影響範囲に着目して解析を進める。併せて、令和2年度に未実施だった水理模型実験を行う。
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Causes of Carryover |
数値シミュレーション検証のための水理模型実験について、実験水槽使用のためのスケジュール調整が困難な見込みとなったため、次年度(令和3年度)に計画している。その実験実施に係る該当予算として、費用を繰り越すこととした。
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