2022 Fiscal Year Annual Research Report
Analyses of shellfish hematopoiesis using single-cell RNA-Seq and genetic engineering technology
Project/Area Number |
20K06222
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長澤 一衛 東北大学, 農学研究科, 助教 (50794236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横井 勇人 東北大学, 農学研究科, 助教 (40569729)
尾定 誠 東北大学, 農学研究科, 教授 (30177208)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 二枚貝 / 造血機構 / シングルセル解析 / 遺伝子導入 / 水生無脊椎動物用プロモーター |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では二枚貝における造血機構と血球分化機構の解明に取り組み、以下の2項目を実施したことで二枚貝の基礎生理学と遺伝子工学を発展させる重要な成果を得た。 項目1「ホタテガイ血球のシングルセル解析」では、Chromiumシングルセル解析から遺伝子発現プロファイルを指標にして分画化することで、ホタテガイ血球を10種類の細胞集団に細分化した。またホタテガイ血球の細胞形態学的解析、血球数の周年変化の解析、さらに血球のBulk RNA-seq解析を実施した。これらの解析からhatching enzyme-like遺伝子およびbeta-crystallin B2-like遺伝子を二枚貝血球マーカーとして新規に同定した。これらのマーカー遺伝子を使用することで、ホタテガイ各器官に浸潤する血球の局在や、異物に対して反応する免疫細胞としての血球の挙動を明瞭に可視化することに成功した。 項目2「二枚貝類に対する遺伝子導入技術の開発」では、受精卵が脆弱かつ微小な海産二枚貝類の複数種に対して最適化されたマイクロインジェクション装置を構築し、mRNA注入により受精卵にGFPを発現させることに成功した。さらにホタテガイ初代培養細胞を作製し、エレクトロポレーションを用いた培養細胞への遺伝子導入にも成功した。我々はこの過程において、二枚貝細胞で高発現する新規ウイルスプロモーターの獲得に成功している。このように本課題で開発した一連の二枚貝類に対する遺伝子導入技術は、二枚貝やその他の軟体動物の遺伝子工学を大きく発展させると期待され、今後の研究においても重要なマイルストーンになると考えられる。 以上、本課題では二枚貝の造血と血球分化機構の全容解明には至らなかったものの、二枚貝における血球の基礎生理学的な知見を多数集積した。さらに二枚貝の強制発現系を創出したことで軟体動物の遺伝子工学研究を大きく前進させた。
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