2021 Fiscal Year Research-status Report
養殖効率を飛躍的に向上させるイカ内臓由来新規成長促進因子の単離同定と利用法の開発
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20K06233
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
三浦 智恵美 広島工業大学, 環境学部, 教授 (90518002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 猛 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (00261339)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イカ内蔵 / 消化ホルモン / 摂食 / 成長促進 / 機能性因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
給餌型の養殖では、飼料効率の向上が、経営的にも環境負荷軽減の面でも重要な課題の一つである。飼料効率の良い飼料の開発には、栄養学的な検討に加え、対象魚の内分泌等の生理学的側面からのアプローチが必要不可欠であり、内分泌環境をコントロールし、摂餌性、消化能力の向上、さらには成長誘導の体内環境を整えることのできる飼料の検討が必要である。本研究では、未利用資源であるイカ内臓に含まれる魚類に対する摂食誘引および成長促進因子の単離同定を行い、数種類の候補物質を得ている。本年度は、実験動物のメダカを用いて、これらの物質のうちの4-ヒドロキシキノリンおよびリコペロジンが、摂食性および成長に影響を及ぼすか否かを解析することを目的とした。0.3cmのメダカ各15尾を収容した各水槽を準備し、1, 10, 100μMの各濃度のリコペロジン、0.1, 1, 10μMの各濃度の4-ヒドロキシキノリンおよびこれらの化合物を含まない飼料(対照群)を作製し、それぞれ3回の反復となるように、1日2回飽食給餌し、3ヶ月間飼育した。その結果、10μMのリコペロジンを添加した飼料、および1と10μMの4-ヒドロキシキノリンを添加した飼料を給餌したメダカがこれらの化合物を含まない飼料を給餌した対照群と比較して給餌量が増え、平均体長及び成長率が増加した。また、飼育後、各実験群のメダカ腸および脳の全RNAを抽出し、リアルタイムPCR法により消化管でのコレシストキニン(CCK)遺伝子発現と脳でのニューロペプチドY(NPY)遺伝子の発現を解析した。CCKの発現に関しては10μMのリコペロジンと、1μMの4-ヒドロキシキノリンを添加した飼料を給餌したメダカでは、腸でのCCKの発現量が、対照群に比べて高くなった。これらのことから、イカ内臓内に含まれるリコペロジンおよび4-ヒドロキシキノリンは、メダカの成長を誘導することが示唆された
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メダカを用いたイカ内臓由来機能性因子の作用機構の解析では、飼育実験での結果が得られた。消化管でのコレシストキニン(CCK)遺伝子発現と脳でのニューロペプチドY(NPY)遺伝子の発現の解析では、NPY の発現に関しては、再度実験が必要であったが、CCKの発現に関しては結果が得られ、概ね計画に沿って研究を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、イカ内臓由機能性物質の作用機構について実験動物を用いて更に解析する。また再実験が必要であるNPYの発現に関しても実験を行い測定する予定である。更に、イカ内臓以外の飼料原料を調べ、摂食性が高く、成長促進が期待できる飼料原料の洗い出しを行うなど、機能性飼料原料の開発を本実験の計画に沿って推進する。
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Causes of Carryover |
本年度も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による在宅勤務や出張の制限のため、実験やデータの情報交換などの共同研究およびサンプル等の試料調達のための旅費、得られた成果を学会等で発表するための旅費支出が計画通りにはならなかった。 次年度は、得られたサンプル等の保存のための保管庫や魚類飼育実験にかかる消耗品類および機能性候補物質の解析のための遺伝子解析試薬等の購入に使用する予定である。また、得られた成果の発表にも使用予定である。
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Research Products
(1 results)