2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K06234
|
Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
藍川 晋平 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生物資源・利用領域, 任期付研究員 (40567252)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 微細藻類 / メタン酸化菌 / 物質生産 |
Outline of Annual Research Achievements |
湖沼は主要なメタンの自然放出源である。研究代表者は、湖沼にて採集した環境サンプルから、メタンを単一炭素源とする条件下で微細藻類が増殖してくることを確認しており、メタン酸化菌と微細藻類から成るメタンを起点とした共生系が存在する可能性を見出した。本研究では、この共生系における生物間相互作用を明らかにすることで、水圏でのメタン循環メカニズムの理解を進め、その知見を温暖化ガス抑制技術やメタンからの物質生産技術へと昇華させることを目指す。今年度は主に環境サンプルの微生物相解析・網羅的代謝物解析・ガス成分解析を実施した。まずメタンガスが自然に発生している田んぼや河川、井戸など10箇所から採水し、メタンを唯一の炭素源とする試験管内で2週間培養を行った。その結果、7箇所のサンプルで藻類の増殖を確認することができ、これらのサンプルのメタンガスを用いた培養の前後で、16Sと18Sを使った菌叢解析で生物叢の変化および微生物の相対的な増加量を調べた。その結果、メタン酸化菌やメタノール資化性菌などと共に、微細藻類が増殖していることが明らかとなった。また試験管内での光合成・酸素濃度などの生理学的解析について実施体制を整え、メタンを唯一の炭素源とする環境下での微細藻類の光合成活性と酸素濃度を測定した。その結果、メタン存在下であれば、酸素がほとんどない環境でも光合成電子伝達がわずかに起こっていることを示唆する結果が得られたため、更なる解析を進めている段階である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は菌叢解析により、メタンを唯一の炭素源とした環境で、微細藻類とメタン酸化菌の増加を確認することに成功した。また本実験系での光合成などの生理学的解析手法についても実施体制を整えることができた。したがって、おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度明らかになった藻類とメタン酸化菌をターゲットとして、次年度はメタン共生系を構成する微生物の単離と人工共生系の構築を重点的に実施する。本課題ではメタン共生系を構成している微生物の単離と、必要十分な微生物種を混合して、人工的にメタン共生系を構築を目指す。
|
Causes of Carryover |
物品購入費が見積額よりも安くなり、未使用額が生じた。 翌年分として請求した助成金と合わせ、物品購入費として使用する。
|