2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K06241
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
筒井 繁行 北里大学, 海洋生命科学部, 准教授 (20406911)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 血液凝固 / レクチン / ネコザメ / プロトロンビン |
Outline of Annual Research Achievements |
ネコザメの皮膚に存在するCタイプレクチンHjCLはネコザメの血漿を素早く凝固させる。これはHjCLがネコザメの血液凝固カスケードに属するいずれかの血液凝固因子の前駆体に作用し、その下流のカスケードが連鎖的に活性化することで生じると思われる。そこで今年度はまず、HjCLの添加によって切断を受けるネコザメ血漿中の因子の探索および同定を目指した。 ネコザメの血漿をゲル濾過クロマトグラフィーに供し、いくつかのフラクションに分画した。それぞれの画分にHjCLおよびコントロールとしてバッファーのみを加えてインキュベートした後、SDS-PAGEに供して、バンドパターンが変化するバンドを検索した。その結果、約120 kDaのタンパク質が検出された。ゲルからこのバンドを切り出し、LC-Q-TOF-MS解析に供した結果、このタンパク質はネコザメのプロトロンビンであることが分かった。このプロトロンビンは約40 kDaの糖鎖が付加していた。そこでHjCLがプロトロンビンの糖鎖に結合することでこれを活性化するかを調べるため、グリコシダーゼを用いてプロトロンビンの脱糖鎖処理し、これにHjCLを加えて切断が生じるかを調べた。その結果、脱糖鎖プロトロンビンも切断されたことから、HjCLが糖鎖ではなく、プロトロンビンのアミノ酸部位に結合することで活性化が生じるものと思われた。HjCLは市販のヒトプロトロンビンを切断しなかったが、ヒトプロトロンビンおよびヒトフィブリノゲンにHjCLを添加したところ、ゲル化が起こった。このことから、ネコザメHjCLはヒトの血液凝固カスケードも活性化することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HjCLのターゲット分子が決定できたため、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
HjCLがプロトロンビンのアミノ酸領域に結合することで活性化することが示された。そこで次年度は、HjCLがプロトロンビンのどのアミノ酸領域を認識するかを調べる。具体的にはプロトロンビンを酵素処理によって部分的に切断したプレトロンビン1およびプレトロンビン2を得て、HjCLによる切断が生じるかをSDS-PAGEにて解析する。HjCLの認識領域に目処がついた後は、表面プラズモン解析によりHjCLが結合するかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
備品購入予定だった金額を消耗品購入に当てたため。
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