2022 Fiscal Year Annual Research Report
Identification and functional characterization of eel serum toxin
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20K06242
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
塚田 岳大 東邦大学, 理学部, 准教授 (50596210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 勝 東邦大学, 理学部, 准教授 (80379289)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ニホンウナギ / 血清毒 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウナギの血清毒は、タンパク性で熱に弱く、摂取や接触により下痢、嘔吐、皮膚炎などの症状を引き起こすことが古くから知られているが、毒の本体(遺伝子)はまだわかっていない。本研究の目的は、ニホンウナギの「血清毒」の遺伝子とそのタンパク質構造を同定することである。令和2年度(初年度)は、ウナギ血清毒の候補遺伝子の全長クローニング、組織発現解析、in situ hybridizationを行い、ウナギ血清毒が肝臓で作られ、血清に分泌される115 kDaの血清タンパク質であることが明らかとなった。令和3年度は、結晶構造解析や毒性解析に必要な血清毒の精製を行った。クローニングした全長配列を、大腸菌用発現ベクター(pET30aベクター)に組み込み、リコンビナントタンパクの精製を試みたが、大腸菌の発現効率が低く、結晶構造解析や毒性解析に十分な量のリコンビナントタンパク質を得ることができなかった。そこで、ウナギ血清からのウナギ血清毒の単離を試みた。硫安分画、疎水性カラム、陰イオン交換カラムの3段階精製により、10 mLのウナギ血清から約5 mgの血清毒を精製することに成功した。また、精製したウナギ血清毒の質量分析を行ったところ、肝臓からクローニングしたウナギ血清毒の配列と同じであることがわかった。令和4年度(最終年)は、精製したウナギ血清毒を用いてin vitroと in vivoの両方で毒性の評価を行った。ウナギ血清毒はマウス腸管を強力に収縮させた。また、腹腔内投与によりマウスの活動が著しく抑制され、腸管の平滑筋や骨格筋にネクローシスが観察された。さらに、腹腔内に2回目のウナギ血清毒を投与すると激しいアナフィラキシーショックが確認された。以上の結果から、血清中に含まれる115 kDaのタンパク質がウナギ血清毒の本体であることが確認された。
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Research Products
(2 results)