2020 Fiscal Year Research-status Report
新バイオ・植物工場技術に関する効果的な情報提供方法の検討:消費者意識の国際比較
Project/Area Number |
20K06255
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
矢野 佑樹 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 講師 (40618485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 敦史 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 准教授 (90292672)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / 植物工場 / 食品 / 記事分析 / 消費者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず植物工場およびゲノム編集技術によって作出された農産物に対する消費者の知識水準や態度、情報ニーズ、情報提供効果に関する文献調査を行なった。その結果、特にゲノム編集については、国内の消費者に焦点を当てた研究成果が不足しているため、海外調査の前に国内でも調査を行う必要があると判断した。また、多くの消費者はメディアからバイオテクノロジーに関する情報を得ていると予想されるため、ゲノム編集食品について国内メディアがどのように報じているのかを把握する必要があると考え、記事分析を行った。具体的には、GoogleニュースおよびYahoo!ニュースで「ゲノム編集」「食品」「作物」「農業」といったキーワードを組み合わせて検索し、2018年1月から2020年7月までの88記事を収集した。その内容を分析したところ、「行政・専門家は現在用いられているゲノム編集のリスクは従来の品種改良と変わらないため安全審査は不要としているが、消費者からはその長期的な影響や意図しない変異等を不安視する声もある」という論調が多く見られた。一方で、従来の品種改良との違いや、意図しない変異は選抜の過程で除去可能であること、ネット上での情報公開のこと等について触れている記事は少数であった。次に、調査の準備として、厚生労働省や農林水産省、NPO法人の資料、収集したニュース記事等を基に、ゲノム編集食品についての情報提供のための説明文・図表を作成した。具体的には、ゲノム編集食品の概要、安全性、オフターゲット変異とその除去、届出制度について其々300~400字程度の説明文を準備した。さらに、それらに加えて、ゲノム編集食品に対する消費者の知識、情報源、情報ニーズ、受容、情報提供に関する質問項目を含めて調査票を準備した。準備は概ね完了したため、翌年度の早い段階で調査を実施する予定となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、文献調査や国内のゲノム編集食品に関するニュース記事の分析、Webアンケートの準備(特に、調査の際に提示する説明資料の準備)に思ったよりも時間がかかったため、予定していた調査の実施は翌年度に変更せざるを得なくなった。また、新しいバイオテクノロジーに対する消費者意識・情報提供効果に関する国内の研究が不足していることから、海外調査の前に国内でも調査を実施する必要があると判断した。予定していた調査の実施は遅れているものの、それに関する準備はしっかりと進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、まず国内においてWebアンケート調査を実施し、ゲノム編集や植物工場に対する消費者の意識や情報源、情報ニーズ、情報提供効果等を明らかにする。その後、当初の計画通り、同様の調査を海外で行いたいと考えている。国によって制度が異なるため、提供する説明資料の準備に時間がかかる可能性があるが、少なくとも、ゲノム編集食品が実際に流通しているアメリカにおいては調査を実施したいと考えている。
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Causes of Carryover |
本年度はアンケート調査の準備のために、説明資料や調査票の作成に関する支出があったが、申請当初予定していた調査の実施は翌年度に変更せざるを得なくなったため、次年度使用額が生じた。また、新型コロナウイルス感染症拡大によって学会への参加費等の支出が発生しなかったのも理由の一つである。令和3年度に予定している調査においてより質の高いデータを多く得るために使用したい。
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