2022 Fiscal Year Research-status Report
新バイオ・植物工場技術に関する効果的な情報提供方法の検討:消費者意識の国際比較
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20K06255
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
矢野 佑樹 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 講師 (40618485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 敦史 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 教授 (90292672)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ゲノム編集食品 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず昨年度に実施した調査のデータを用いて、ゲノム編集食品の流通に対する賛否や安全情報へのアクセス、態度変容に影響を及ぼす要因を離散選択モデルによって分析した。しかしながら、分析に用いた変数間には複雑な関係があることが判明したため、構造方程式モデリングを用いて再度分析を行った。その結果、以下のことが明らかになった。第一に、食品安全の取組に対する信頼が低い人や、新技術に対する抵抗感が高い人は、ゲノム編集食品の流通に反対する傾向が見られた。また、安全情報へのアクセスは反対する確率を低下させた。第二に、食品安全への信頼と関心が低い人や、好きな理系科目がない人は、情報にアクセスしない傾向が見られた。信頼が低い人は、最初から反対する傾向があるだけでなく、情報へのアクセス率も低くなってしまうため、態度変容も期待できないことが判明した。第三に、新技術に対する抵抗感が高い人は、食品安全への関心が高い一方、信頼が低い傾向が見られた。また、好きな理系科目がない人は、信頼が低いと同時に関心も低い傾向が見られた。こうした技術や科学に対する関心や価値観は、ゲノム編集食品に対する態度に影響する「信頼」や「情報取得」に対して重要な影響を及ぼすことが明らかになった。これらの結果は、今後ゲノム編集食品に関する啓発活動を検討する際の資料になると思われる。 また、植物工場およびゲノム編集技術によって作出された農産物に対する消費者の態度や情報提供効果に関する調査を実施するための準備を行った。昨年度の調査をベースに海外調査を行う予定であったが、植物工場技術とゲノム編集技術を組み合わせることを評価してもらうことや、複数の異なる情報を提示することを考慮に入れ、選択実験を実施することを計画している。そのための文献調査や提示情報の作成等に時間を要したが、翌年度に調査をしっかり実施できるように準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、昨年度の調査から得られたデータ分析に時間がかかったことと、研究方法の変更によって必要になった文献レビューや調査票の準備等にも時間がかかったことから、調査の実施は翌年度に変更せざるを得なくなった。アンケートの回答者に提示する説明資料などの準備はしっかりと進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、複数の国でWebアンケートを用いて選択実験を実施することを予定している。また、植物工場技術やゲノム編集技術に関する情報源に対する消費者の信頼意識や、情報提供効果などを明らかにする。予算の範囲内でできるだけ調査を実施したいと考えている。
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Causes of Carryover |
本年度予定していた海外調査の実施を翌年度に変更せざるを得なくなったため、次年度使用額が生じた。また、引き続き学会への参加費や交通費等の支出が発生しなかったことも原因の一つである。今後予定している海外調査や学会発表、論文投稿のために使用したい。
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