2023 Fiscal Year Annual Research Report
新バイオ・植物工場技術に関する効果的な情報提供方法の検討:消費者意識の国際比較
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20K06255
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
矢野 佑樹 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 講師 (40618485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 敦史 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 教授 (90292672)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / 植物工場 / 食品技術 / 消費者 / 情報提供 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、人工光型植物工場で生産されたゲノム編集トマトに対する消費者態度やその影響要因、技術の情報に対する関心と効果を明らかにするためにWeb調査を実施した。調査はアメリカ、シンガポール、フィンランドで実施し、それぞれ358名、311名、333名の計1,002名(有効回答942)から回答を得た。その結果、まず第一に、ゲノム編集食品の認知度はどの国でも約60%であった一方で、植物工場の認知度はシンガポールが76%と高く、次いでアメリカが62%、フィンランドが55%と国によって異なることがわかった。また、ゲノム編集トマトの流通に対する賛成割合にも差が見られ、シンガポールが71%と高く、次いでアメリカが57%、フィンランドが36%であった。第二に、追加情報として「植物工場野菜の品質」と「ゲノム編集食品の安全性」について読んでみたいか尋ねたところ、両方入手した回答者の割合が高かったのがシンガポールの51%、次いでアメリカの44%、フィンランドの34%となり、情報を入手しない人が多く存在することがわかった。第三に、情報提供後にはどの国でも賛成の割合が若干低くなり、今回の提示情報では全体として態度の改善が認められない結果となった。これらの結果から、食品技術に対する関心と態度は国によって差が見られ、関心が高いほど肯定的な態度であることが判明した。 研究期間全体の結果から、新技術によって作出された食品に対する消費者態度は国によって異なり、食品安全への信頼や科学技術に対する関心や価値観が影響していることがわかった。また、安全情報の提供効果は、入手しない人が存在することや、入手しても判断に迷っていた人以外の態度を変えることは難しく、全体としては限定的となることが判明した。こうした知見は、今後、新技術を組み合わせて作られた食品に関するコミュニケーションのあり方を検討する際の資料になると思われる。
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Research Products
(1 results)