2020 Fiscal Year Research-status Report
市場発展下における生産性と農地規模の逆相関に関するミクロパネルデータ分析
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20K06257
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
園田 正 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (60329844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VU THIBICHLIEN 名古屋経済大学, 経済学部, 准教授 (60747880)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | バングラデシュ / 逆相関 / 生産性 / 季節パネルデータ / 確率的生産フロンティア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,発展途上経済の農業生産について観察されてきた古典的な関係「逆相関」(作付規模が大きいほど農業生産性が低いという関係)を分析対象とし,経済発展に伴う生産要素(土地,労働,信用など)の市場発展に注目して,最新のデータと計量手法に基づき,バングラデシュとベトナムにおいて「逆相関」が観察されるか,いつこの関係が転換するか,どの市場の変化が重要かを検証することを目的としている。 本年度は,ベトナム家計調査(VHLSS)とバングラデシュ統合家計調査(BIHS)のデータを入手および整理し,主としてバングラデシュのデータに基づく予備的分析を行った。分析を進める中で,雨季と乾季における米の単収差が大きいこと,これらの季節の生産方法の違い(水源,品種,生産要素の投入量)など)を考慮する必要性を感じ,2015年のBIHSに含まれる米の品種(雨季・乾季の判別が可能)の情報を利用して,雨季と乾季に収穫される米に関するプロットレベルの季節パネルデータ(2450プロット×2期間(雨季・乾季))を作成した。このパネルデータを用いて,真のランダム効果モデルの仮定(攪乱項はプロットに関する観察不能な季節に無関係な効果を含むという仮定)に基づき,米の単収に関する確率的生産フロンティア分析を行った結果,土地の係数は正で有意であった。つまり,逆相関は観察されなかった。ただし,この結果の安定性や,逆相関が観察されない理由については,さらなる検証を要すると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
バングラデシュのデータを入手および整理し,季節パネルデータを作成できたのは,当初の計画にはなかった追加的な結果であったが,この分析にやや時間がかかったこともあり,ベトナムに関する実証分析や,バングラデシュに関する来年度に向けた準備が十分進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り研究を進められるよう努力を続ける。具体的には,バングラデシュとベトナムに関する基礎的分析の実施と比較,令和3年度の計画にある生産要素市場の不完全性の検証,雇用労働と家族労働の異質性と監視費用の分析を実施していく。
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Causes of Carryover |
令和2年度は新型コロナウイルス感染症の流行のため,国内外への出張を実施できず,購入予定であったデスクトップ型パソコンについても,当該年度の分析が予備的分析にとどめたため,新年度に改めて購入することとした。令和3年度についても感染症の流行に影響されるかもしれないが,計画どおり実行できるよう努力する。
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