2021 Fiscal Year Research-status Report
市場発展下における生産性と農地規模の逆相関に関するミクロパネルデータ分析
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20K06257
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
園田 正 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (60329844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VU THIBICHLIEN 名古屋経済大学, 経済学部, 准教授 (60747880)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | バングラデシュ / 逆相関 / 生産性 / 市場発展 / 農家モデル / 分離性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,発展途上経済の農業生産について観察されてきた古典的な関係「逆相関」(作付規模が大きいほど農業生産性が低いという関係)を分析対象とし,経済発展に伴う生産要素(土地,労働,信用など)の市場発展に注目して,最新のデータと計量手法に基づき,バングラデシュとベトナムにおいて「逆相関」が観察されるか,いつこの関係が転換するか,どの市場の変化が重要かを検証することを目的としている。本年度は,ベトナム家計調査(VHLSS)とバングラデシュ統合家計調査(BIHS)のデータについて,生産要素市場の不完全性の検証を行うための整理・修正を行った。具体的には,農家行動における生産面の選択(労働需要,生産物供給など)と消費面の選択(食料需要,労働供給など)の相互依存関係を調べ,農家モデルの分離性の検証を行い,バングラデシュとベトナムにおける市場発展の度合いを確かめるため,先行研究に基づき,農産物生産額,農外市場賃金率,農業労働投入,農家の世帯構成など,必要なデータを整理・修正した。また,ベトナムの経済発展初期のデータについて予備的分析を行い,検証に用いる説明変数の選択によっては,先行研究と異なる結果(分離性の成立)も得られうることがわかった。さらに,市場発展,監視費用の問題に注目し,バングラデシュとベトナムについて逆相関関係の比較について海外研究者との共同研究によって進める予定であった。しかし,新型コロナウイルス感染症の流行のため,海外研究者との共同研究は円滑に進まなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は,新型コロナウイルス感染症の流行の影響により,海外研究者との共同研究を計画通りに進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り研究を進められるよう努力を続ける。具体的には,まず,令和3年度の計画で実行できなかった部分(バングラデシュとベトナムに関する生産要素市場の不完全性の検証,雇用労働と家族労働の異質性と監視費用の分析,および両国間の比較)について進める。そのうえで,可能な限り,令和4年度の計画(確率生産フロンティアによる分析)についても進める努力をする。
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Causes of Carryover |
令和3年度は新型コロナウイルス感染症の流行のため,予定していた海外出張を実行できなかった。次年度については,感染症の流行の影響もあると思われるが,できるかぎり計画を実行できるように努力する。
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