2022 Fiscal Year Research-status Report
The influence of global climate change on Agriculture and Water Quality in Kiribati Republic
Project/Area Number |
20K06262
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小野 洋 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (40446480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 洋光 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 再雇用職員 (30355276)
野口 真貴子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (30459672)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 気候変動 / 栄養摂取 / 生活環境 / 南太平洋 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主な目的は、地球温暖化の被害に脆弱とされる南太平洋島嶼国のキリバス共和国を対象に、温暖化がもたらす生活環境への影響を分析することにある。過年度において、温暖化の影響を計測するプレアンケートを実施した。但し、コロナ禍での入国制約等からリモートでの実施となったこともあり、有効回答数が20程度にとどまった。それゆえ、当初予定していた検証に耐えうる統計的解析が不可となった。また、南太平洋大学キリバス校キャンパス内に設置していた雨量計・温度計が、現地との情報伝達ミスによって撤去・廃棄されるという想定外の事態が発生した。このように、コロナ禍に伴い生じた様々な問題により、研究に進捗は見られなかった。 2022年度は実質的には、保健衛生・海面上昇等に関するデータ収集及び、在日キリバス人を対象としたキリバス国内の経済状況に関するヒアリング実施による情報収集にとどまった。ヒアリングは2回実施した。キリバス国内においてコロナ禍での経済不況により、離島部から都市部への社会的移動が発生し、首都部の人口集中がさらに進み、生活環境が悪化していること等について知見を得た。 気象データについては、1.2021年秋から続いていたラニーニャ現象は終息した、2.2023年春は平常の状態が続く可能性が高い、3.夏はエルニーニョ現象が発生する可能性と平常の状態が続く可能性が同程度である、といった諸点を整理した。キリバスでは水不足が常に問題となっているが、2023年度は一定の降水が予想されており、生活環境の改善が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍にあって、研究推進は極めて大きな制約を受けている。 2022年度は、キリバス国内の外出禁止令及び国境閉鎖措置が解かれたこともあり、過年度に実施できなかった現地ヒアリング調査、アンケート調査を実施する予定であった。しかし、年度前半は飛行機が不定期のため渡航できず、年度後半は定期便が再開したものの運賃がコロナ前の3倍程度となったため、費用面で渡航ができなかった。 以上から「遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現地へのアクセスの確保は、本研究の進捗にとって最重要である。2023年4月からは、コロナ禍以前の状態に戻ることになった。そこで、2023年度は現地調査を2回予定している。 気象変動による淡水の不足は、キリバス国民の生鮮野菜摂取に大きな影響を及ぼすほか、栄養不足は精神状態にも影響を及ぼす。そこで、栄養疫学研究、人間栄養学研究に活用されているBDHQ、精神医学で活用されているCES-Dの調査を本格的に実施したい。具体的には、現地のNPO、カウンターパート等の協力を得て、200程度の有効回答数獲得を目標に実施した調査を実施し、統計分析を多面的に実施する。あわせて関連省庁において、気候変動の実態及び気候変動がもたらす生活環境への影響についてヒアリングを実施する。
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Causes of Carryover |
2022年度はコロナ禍にあって、当初予定していた現地調査が実施できなかったため、次年度使用額が生じた。現地からの報告では、2023年度は調査が可能となることから、これまでの遅れを取り戻すべく現地調査を実施する。
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