2020 Fiscal Year Research-status Report
冷凍野菜開発輸入業者による伝統国と新興国からの安定調達に関する企業行動の新展開
Project/Area Number |
20K06264
|
Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
菊地 昌弥 桃山学院大学, 経営学部, 教授 (30445689)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 開発輸入 / 冷凍野菜 / 企業行動 / 中国 / エクアドル |
Outline of Annual Research Achievements |
冷凍野菜の開発輸入先国として最大規模にある中国との貿易において、2010年頃より日本側の主体間関係が弱体化している。そうしたなか、本研究では伝統国中国および同年以降に新興国として台頭してきたエクアドルを対象に、冷凍野菜開発輸入業者が市場構造に対応したどのような企業行動を講じることで、わが国の食品産業で必要とされる商品を安定的に調達しているかの現状をマーケティング論やフードシステム論の知見から明らかにすると共に、その行動を生産性やクレーム率等の成果に関する定量的な指標を用いながら分析し、学術的知見から意義あるものかを明示することを目的としている。 具体的な課題は、①中国で講じている市場構造に対応した企業行動の具体的内容とその意義(有益さ)の解明、②エクアドルで講じている企業行動の具体的内容とその意義(有益さ)の解明、③冷凍野菜の開発輸入に関する展開方向の取りまとめ、の3つである。 2020年度は、上記の課題のうち①に取り組み、研究計画当初に予測した企業行動が実際に講じられていた事実を大手開発輸入業者への調査より把握した。その企業行動とは、経済発展が著しい沿岸部の山東省、福建省等の伝統(主要)産地では、1)労働集約的生産体制から資本集約的生産体制への移行に関する製造ラインの組み換えや効率的な運用システムの導入に関する指導を実施している、2)異物混入や残留農薬の基準値オーバー等の重大な問題を発生させないための指導を強化している、といったものである。また、これらの事実に関する実態を裏付けるデータの入手も一部行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画当初に予測した企業行動に間違いがなかったことが把握できたため、計画を大きな変更なく進めることができる見込みが立った。また、企業行動の成果に関する個別データも一部ではあるが、入手できている。だが、コロナ禍にあり、当初予定していた国内調査をすべて実行できたわけではなかったことに加え、現地での実態調査は依然として目途が立っておらず、研究がやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として検討している事項は、次の通りである。 第1に、学会や研究会等で現時点での研究結果を報告し、フィードバックを得ることで学術的意義に大きな問題がないかの確認や、より研究水準を高くするための知見を得ることである。この取り組みについては、来年度上半期に実施を予定する。 第2に、上記1で得たフィードバックを受けた内容を踏まえ、国内で事例企業への再調査を複数回実施し、不足している情報やデータを入手するように取り組むことである。上述のように、現地で実態調査を実施できる目途が立っていないので、この機会には、現地の冷凍野菜輸出企業に関する情報も意識的に入手するように取り組む予定である。この事項については、来年度下半期に実施を予定する。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍にあり、海外調査ができなかったことが、次年度使用額が生じた最大の原因にある。2021年度については、「今後の研究の推進方策」部分で少し触れたように、現地の冷凍野菜製造企業に関する情報については、その取引先である大手開発輸入業者を介して入手する工夫を予定している。また、同主体でも理解していない箇所があった際には、聞き取り調査を依頼し、間接的な方法で実態を把握する取り組みも検討している。こうしたことから、大手開発輸入業者への調査機会が増えることが予想され、それに伴って専門知識の提供に関する謝金の支出が増加する計画を予定している。
|