2021 Fiscal Year Research-status Report
冷凍野菜開発輸入業者による伝統国と新興国からの安定調達に関する企業行動の新展開
Project/Area Number |
20K06264
|
Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
菊地 昌弥 桃山学院大学, ビジネスデザイン学部, 教授 (30445689)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 開発輸入 / 冷凍野菜 / 新興産地の開拓 / 企業行動 / エクアドル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では伝統国中国および同年以降に新興国として台頭してきた南米エクアドルを対象に、冷凍野菜開発輸入業者が市場構造に対応したどのような企業行動を講じることで、わが国の食品産業で必要とされる商品を安定的に調達しているかの現状を、マーケティング論やフードシステム論の知見から明らかにすると共に、その行動を生産性やクレームの頻度等の成果に関する定量的な指標を用いながら分析し、学術的知見から意義あるものかを明示することを目的としている。 2021度は、エクアドルで講じている企業行動の具体的内容とその意義(有益さ)の解明に取り組んだ。近年、日本の大手冷凍野菜開発輸入業者は、新興産地として南米の開拓を志向するようになっている。それは、主産地中国との関係変化に伴い、リスクを分散する必要が出ているためである。しかし、同国からの輸入量や品目数をみると、まだ本格的には実現されていない。2021年度の研究では、その原因の解明を目的とした。この原因の考察にあたり、品質(クレームの頻度と一般生菌数の値を指標)と価格に焦点を当て、中国産と比較して分析した。この分析は、エクアドルでも開発輸入をしている日本最大の専業大手とエクアドルを代表する冷凍野菜製造企業の事例、および貿易統計のデータを通して行った。 その結果、現時点においてエクアドル産は、中国産に比較して両面で優位性が極めて低いことを明らかにした。また併せて、こうした一方で、日本の大手開発輸入業者の指導を全面的に受け入れ、課題解決が進んでいることも解明した。これにより、本研究で取り上げた事例では、輸出量の規模はまだ小さいが、最大の輸出品目であるブロッコリーのほかに、近年ほうれん草でも他国向けのシェアを奪う形で日本が輸出先国として二番目の位置に台頭していた。こうした傾向からは、中長期的にみると、開発輸入先が南米にまで広域化される可能性が示唆される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究に必要な統計資料の入手が進んだ。また、企業行動の成果に関する個別データも最低限入手できた。だが、それらについて、まだ考察に着手できていないものが複数存在している。そして、コロナ禍にあり、現地での実態調査は依然として目途が立っていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として検討している事項は次の通りである。 第1に、入手したデータの考察を進めると共に、ある程度まとまった際には、学会や研究会等で研究結果を報告する。また、業界に詳しい専門家や研究者ともコミュニケーションを取り、フィードバックを得る。この取り組みについては、来年度上半期に実施を予定する。 第2に、上記1で得たフィードバックを受けた内容を踏まえ、国内で事例企業への再調査を複数回実施し、不足している情報やデータを入手するように取り組む。上述のように、現地で実態調査を実施できる目途が立っていないので、この機会には、現地の冷凍野菜輸出企業に関する情報も入手するように意識的に取り組む予定である。この事項については、来年度下半期に実施を予定する。
|
Causes of Carryover |
昨年度同様、コロナ禍にあり、海外調査ができなかったことが、次年度使用額が生じた最大の原因である。2022年度については、「今後の研究の推進方策」部分で少し触れたように、現地の冷凍野菜製造企業に関する情報については、その取引先である大手開発輸入業者を介して入手する工夫を予定している。また、同主体でも理解していない箇所があった際には、聞き取り調査を依頼し、間接的な方法で実態を把握する取り組みも検討している。こうしたことから、大手開発輸入業者への調査機会が増えることが予想され、それに伴って専門知識の提供に関する謝金の支出が増加する計画を予定している。
|