2020 Fiscal Year Research-status Report
伝統品種の採種地が農業者および消費者による農産物の評価に及ぼす影響
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20K06265
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Research Institution | Sanyo Gakuen University |
Principal Investigator |
西村 武司 山陽学園大学, 地域マネジメント学部, 准教授 (80574029)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 伝統品種 / 薄荷 / 地域活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の当初の計画では、漁業者へのヒアリングおよびアンケート調査を実施する予定だった。とくに牡蠣養殖を営む漁業者には、地元の種を好む者だけではなく、他産地で採種された種を好んで使用する者もいることが、これまでの調査で明らかになっていたため、漁業者の種の選好に関する詳細な調査が求められていた。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、本調査は中止せざるを得なかった。そこで、次年度以降に予定していた、江戸時代から続く岡山県での薄荷栽培の復活に取り組む方々を対象に、伝統品種の復活に関する調査・研究を行うことにした。同県では、薄荷を復活させる活動を行う企業・団体が複数存在する。彼らの中には、昭和期に地元の農業試験場で開発された品種を栽培する団体、地元に自生するかつての栽培品種を栽培する団体、あるいは、北海道等の他産地の品種を栽培する団体が存在することから、薄荷栽培の復活という共通の目的であっても、多様な選択肢が存在することがわかった。これらのうちの2つの団体を詳細に調査した。薄荷は生食には適さないため、商品開発が不可欠となる。その際、商品開発のアイデアだけでなく、加工業者との間の交渉が薄荷栽培を継続する上で重要であることが確認された。また、その地域の歴史に根ざしたストーリーによって消費者にアピールする場合、伝統品種へのこだわりが強くなる傾向がみられた。さらに、自らの利益だけでなく、地域活性化を意識する生産者ほど、地元の伝統品種の使用にこだわる傾向が観察された。次年度以降は、別の作物の伝統品種について調査することで、この傾向の普遍性について検討するとともに、文献調査を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画から変更した部分があるものの、一定の成果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
伝統野菜の栽培を継続している生産者に対してヒアリング調査を実施するとともに、本研究に関連する文献調査を行う。
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Causes of Carryover |
研究内容について、当初の計画から変更した生じたため、次年度使用額が発生することとなった。次年度以降の調査等に使用する予定である。
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