2022 Fiscal Year Research-status Report
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20K06266
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
外園 智史 九州産業大学, 経済学部, 准教授 (40611570)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 空間均衡モデル / 不確実性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国際農産物市場の不確実性、不安定性について、数量的に明らかにすることである。そのために、主要農産物の生産の不確実性の実態、価格変動の実態等、国際農産物市場の不確実性について数量的に明らかにする作業を続けてきた。 前年度までに、我が国におけるコメ価格変動について、農協等の主要農業団体を通した場合と、民間会社が取り持つインターネットによるマッチングを利用した場合との比較を行い、有意な差があることを明らかにしてきたが、今年度はその成果をとりまとめ、論文として発表した。 また、これまで近年の穀物の収量変動などについて基礎的な分析を進めてきたが、今年度は、次年度行うシミュレーション分析のモデルとして、空間均衡モデルの構築を行った。さらに、モデルで利用するデータや、シナリオの検討を行った。近年の世界の穀物生産量、消費量や在庫量変化等を検討すると、収量変動のみでは説明しにくい変化も示唆された。つまり、農産物貿易のリスクとは、気候変動や在庫変動等の実体経済の影響のみならず、ポリティカルな影響が大きいことが、改めて示唆されることになった。これを踏まえ、次年度以降、農業政策や紛争その他の政情に起因するリスクについても分析する必要があることが明らかとなった。それぞれの影響については、統計的な研究の蓄積は多いと考えられるため、研究の独自性として、シミュレーション分析と厚生経済学的分析を利用し、国際農産物市場の不確実性に関する評価を加えたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究課題開始以来のコロナ禍における現地調査難やデータ入手難等に由来する遅れが影響し、やや進行が遅れ、研究期間を延長することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
空間均衡モデルを用い、収量変動が国際農産物市場に与える影響と、各種政策、あるいは政情の変動が国際農産物市場に与える影響について、シミュレーション分析を行い、その結果を比較するなど、分析を進める。
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Causes of Carryover |
予定していた学会がオンライン開催になる等により旅費の支出がなかったことに加え、計画全体の若干の遅れから、予定していたシミュレーション用のソフトウェアの購入もなかった。次年度はいずれも支出予定である。
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Research Products
(1 results)