2020 Fiscal Year Research-status Report
A study on policy measures for mitigating downward risk of farm income due to the increase in production costs
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20K06270
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
吉井 邦恒 摂南大学, 農学部, 教授 (00356297)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 農業保険 / 収入保険 / 生産費 / 経営単位収入保険 / 農業収入・所得変動 / 新型コロナウィルス感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
アメリカにおける農業保険の実施状況及び制度改正並びに新型コロナウィルス感染症への対応状況について調査し、①2019年には主要作物の面積加入率94%(収入保険シェア92%)であり、農業保険が農業者にとって必要不可欠なリスク管理手段となっていること、②経営単位収入保険は近年加入が減少しており、基準収入の算定方法を変更するなど保証の充実によって加入促進を図っていること、③新型コロナウィルス感染症による農業収入の減少は、作物別の農業保険では補てんされないものの、経営単位収入保険では、本来の販売額を比較して安値で販売したことが証明できれば、保証対象になること等を明らかにした。 農業保険の経営安定化の効果を分析し、アメリカの農業保険が全参入生産費をカバーする保証を提供しているのに対して、日本の農業共済は経営費と家族労働費の5割を加えた水準程度しか保証せず、農業共済だけでは再生産に必要な最低限の収入しか確保できない可能性を示した。 日本の水田作と果樹作の農業収入・所得の変動状況を分析し、①水田作について、大規模経営の農業収入の年次変動は10%以内に収まっているものの、農業所得が20%~50%の大幅な減少となるケースもかなりの頻度で発生していること、②りんご作やみかん作について、農業収入・所得の変動幅は大きいものの、面積当たりの農業収入が水田作の3倍、農業所得率も30%以上となっており、水田作よりも収入・所得の変動への対応力が高いとみられることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染症の感染拡大に伴い、一部の地域の農業者や農業共済団体へのインタビュー調査や海外調査を計画どおりに実施できなったものの、アメリカの農業保険や日本の営農類型別の農業収入・所得の分析はおおむね予定どおり進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度には、農林水産省、全国農業共済協会、全国農業共済組合連合会等の協力を得て、各地域の農業者や農業共済団体を対象に、農業リスクや農業保険に関する実態の調査と分析を行う。また、欧米の農業保険等の農業経営安定対策、特に生産費を考慮した農業所得の変動緩和対策に関する情報を入手し分析を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の拡大によって、計画していた海外調査(北米)と一部の国内調査を実施することができなくなったため、次年度使用額が生じた。令和3年度には、当該調査を追加して実施する。
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