2021 Fiscal Year Research-status Report
A study on policy measures for mitigating downward risk of farm income due to the increase in production costs
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20K06270
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
吉井 邦恒 摂南大学, 農学部, 教授 (00356297)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 農業保険 / 生産費 / インデックス保険 / 経営単位収入保険 / 農業所得 |
Outline of Annual Research Achievements |
アメリカにおける農業保険の実施状況と制度改正の状況について調査し、①近年の農業保険加入面積の増加は、主にインデックス保険への加入増加によるものであり、インデックス保険加入面積が農業保険加入面積に占める割合が4割に達していること、②経営単位収入保険への加入者が減少する中で、北西部の果樹主産地では加入者数が維持されており、経営単位収入保険は地域及び品目に偏りがみられる形で実施されていること、③2021年から導入されたEnhanced Coverage Option(ECO)の機能と加入状況を分析し、ECOはわずかな収入減少を補てんする手段として有効ではあるものの、保険料負担が極めて高額であり、加入が十分に拡大しない可能性があること等を明らかにした。 アメリカにおける主要作物の生産費と農業保険保証価格の関係を分析し、小麦を除く主要作物に関して、保証価格は生産費をカバーする水準となっており、農業保険は再生産を確保する上で必要な保証を提供していること等を明らかにした。 アメリカにおいて、生産費を考慮した農業所得を保証する保険として導入されたMargin Protection(MP)の仕組みと加入実績について調査し、生産費の高騰等に伴い、MPへの加入が拡大しつつあるものの、MPによる保証は地域単位の農業所得の低下に対するものであり、必ずしも生産費の変動状況等に対応して保険金が支払われるとは限らないことから、MPの保険金の支払い事例が少ない状況にあること等を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の感染拡大に伴い、海外調査は実施できなかったものの、アメリカの農業保険については、インターネットやメールによる問い合わせによって研究を進めることができた。しかしながら、国内における農業者や農業共済団体等へのインタビュー調査をほとんど実施することができず、農業保険制度への意向や生産費上昇への対応等に関する実態の把握を十分に行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度には、欧米の農業保険等の農業経営安定対策、特に生産費を考慮した農業所得の変動緩和対策に関する情報を入手し分析を行うとともに、農林水産省、全国農業共済協会、全国農業共済組合連合会等の協力を得て、各地域の農業者や農業共済団体を対象に、生産費の変動状況をはじめとした農業リスクや農業保険に関する実態の調査と分析を行い、研究成果のとりまとめを行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の拡大によって、計画していた海外調査(北米)と一部の国内調査を実施することができなくなったため、次年度使用額が生じた。令和4年度には、当該調査を追加して実施する。
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