2020 Fiscal Year Research-status Report
耕地分散と農地取引の空間経済分析―理論モデルの実証と新たな政策アプローチの提案―
Project/Area Number |
20K06271
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Research Institution | Policy Research Institute, Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries |
Principal Investigator |
川崎 賢太郎 農林水産省農林水産政策研究所, 食料領域, 上席主任研究官 (70415636)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 耕地分散 / 規模拡大 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では耕地分散に関する二つの課題に取り組む。課題(1)では、通作を考慮した場合の規模拡大のメカニズムを明らかにする。通作に伴うコストを考慮すると、離農した農家の農地は、近隣の農家ほど取得できる可能性が高くなる。この場合、農地をあえて分散させる方が、規模拡大を実現できる確率は上昇する。こうしたメカニズムを理論的および実証的に明らかにする。課題(2)では、耕地分散を解消するための政策手段を探る。現行の制度では、団地面積に応じた補助金が支給されているが、本研究では新たな枠組みとして、通作距離が短いほど補助金単価の上がる仕組み(通作支払い)を考案し、その効果を分析する。
初年度は主に課題(1)を進めた。具体的には、まず耕地が分散している農家ほど、規模拡大を実現できる確率が上昇することを理論モデルによって示すと共に、実証分析においては個票データ(センサスデータ・営農類型別統計)の申請、パネル化を終了したところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題(1)については、理論分析およびデータ収集と準備という当初の計画を達成できた。課題(2)については二年目から本格的に分析を開始する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
二年目は、課題(1)の実証分析を年内に完了させ、その成果を日本農業経済学会およびアメリカ農業経済学会へのエントリーに用いる。 課題(2)についても、先行研究のレビューや理論的な枠組みの検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
所属機関の予算処理の都合上、研究費を使えるようになったのが12月と遅かったため。
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