2021 Fiscal Year Research-status Report
地域資源管理における経験価値マーケティングの有効性に関する定量分析
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20K06279
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
赤沢 克洋 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 准教授 (70304037)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 経験価値 / サービスの質 / 道の駅 / 検証的因子分析 / 潜在クラス分析 / 構造方程式モデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は,価値創造に資する消費者の経験に着目し,その活用による地域マーケティングの新たな戦略方途を提示することである.このために当該年度において,道の駅における経験とサービスの質に関する利用者選好を定量的に分析した.データには一般市民を対象として実施した質問紙調査の結果を用いた.検証的因子分析,潜在クラス分析,構造方程式モデリングを適用したところ,以下の知見が得られた.第1に,道の駅の基本的機能である休憩機能に関わる経験や利用者にとって能動的なサービスが求められていることがわかった.第2に,利用者は道の駅で各種経験が得られることへの希求度合いが低い状態から,まずは地域食,風景,休養娯楽のいずれかを個々に希求し,さらに希求度合いが高い人は休養娯楽をベースとしながら,まず地域風情をはじめとした道の駅の本質機能にかかる経験,次いで本質機能にかかる経験に付加して知識の増進や敷地の散策といった一般的な活動も併せて希求し,最も希求度合が高くなるとより活動的でマニアな経験の付加も求めるようになることがわかった.第3に,まず利用サービス全般を希求し,さらに希求度合いが高い人は利用サービス全般をベースとしながら,確実性もしくはユーザーフレンドリーさを希求し,最も希求度合いが高くなると上記の提供サービスに付加して自身への配慮を求める提供側への欲求が強まり,その結果として利用と提供を問わないサービス全般を求めるようになることがわかった.第4に,「自然志向」「地域志向」が強い人ほど地域愛着や体験活動といったよりマニアな経験を希求し,「消費志向」が強い人ほど休養娯楽や非日常などの娯楽消費系の経験を希求する傾向にあるとわかった.第5に,「消費志向」が強い人ほど利用と提供を問わないサービス全般を希求し,「地域志向」「好奇心旺盛」が強い人ほど利用サービス全般を希求しない傾向にあるとわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
価値創造に資する消費者の経験の体系化とその活用による地域マーケティングの新たな戦略方途の提示に向けて,道の駅における利用者選好に関するデータを得た.その調査データの分析や結果のとりまとめを行ったところいくつかの知見を売ることができた.そのため,概ね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
観光土産店と美術館が提供する経験に関するアンケート調査が完了したため,それらの調査データの分析や結果のとりまとめを早急に行い,成果を公表していく.また,和菓子への選好に関するデータについては分析と結果のとりまとめが完了しているので,成果を公表する.さらに,いくつかの消費財における経験の付加に関するアンケート調査を実施する.
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Causes of Carryover |
当初予定していた支出を他の研究経費によりまかなうことができたため,余剰が生じた. 翌年度は,アンケート調査の実施(郵送費,人件費等)と研究成果の公表(投稿料等)のために積極的に支出する予定である.
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