2021 Fiscal Year Research-status Report
「生きもの循環論」による新たな農法論・日本農法史の理論的・実証的研究
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20K06288
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
徳永 光俊 大阪経済大学, 経済学部, 名誉教授 (30180136)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 農法論 / 日本列島農法史 / 生きもの循環論 / 三つの主体―環境系論 / 農家生活リズム論 / 農法リズム論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度はコロナ禍の影響もあり、庄内地方での史料調査は出来なかった。ただし、庄内の上郷町における、明治期の乾田馬耕の農民的改良を明らかにした関連文書のコピーを多数入手した。これにより刊本中心の研究を意図していたが、古文書を使った新しい研究の可能性が開けた。さらに東北寒地の農業を水田単作でのみ捉えていたが、養蚕や畑作なども視野に入れた「作りまわし」の農業を検討することとなった 戦後農法論の学説史的検討を行った。加用信文、飯沼二郎、熊代幸雄、守田志郎の全著作を書誌学的に検討することにより、それぞれの理論的功績と不十分点を明確にした。そして彼らの研究をどのように受け継いで、21世紀の農法に活かすかを提案した。 具体的には新たな農法論の視点として「生きもの循環論」の視点から、三つの主体―環境系論、農家生活リズム論、農法リズム論を提案し、私が研究してきた奈良盆地の大和農法を事例にして実証的に明らかにした。 新たな論点の提示に関して、東京へ聞き取り調査を行い、戦後の農法論研究に関して何名かの方から、当時の状況などについて貴重な示唆、アドバイスを頂いた。また、お二人のご遺族とメール、手紙などで連絡を取り、情報を頂いた。 以上の成果は、すべて『大阪経大論集』に論文として公表した。また、私が主宰する関西農業史研究会で2022年2月に研究発表した。社会貢献として、2021年5月に大阪経済大学日本経済史研究所の黒正塾で、同年11月に京都大学農学部洛友会総会にて講演した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
庄内農法の実証的研究を行うことで、日本列島農法史の全体像を検討しようとしたが、コロナ禍のため、山形県庄内地方の調査研究を行うことが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
農法論の理論的研究に関しては、学説史的検討によりほぼ終えることが出来た。これに関しては、2022年7月頃を目途に単著『日本農法論研究―アグロヒストリア(農史)からみる―』(農文協)として出版する予定であり、現在編集作業を行っている。 庄内農法に関しては、史資料のコピーを入手したことにより、まずは該当する庄内の上郷地域を7月頃より現地史料調査を行う予定である。その後も引き続き庄内の他地域の資料調査を行っていく。
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