2021 Fiscal Year Research-status Report
モンゴル、ムルンにおけるフルボ酸を活用した緑化技術の開発とその評価
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20K06294
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
寺崎 寛章 福井大学, 学術研究院工学系部門, 講師 (40608113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 一成 聖路加国際大学, 専門職大学院公衆衛生学研究科(公衆衛生大学院), 准教授 (50596278)
梅村 朋弘 愛知医科大学, 医学部, 講師 (10401960)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | モンゴル / 砂漠化進行防止 / 草原退行 / 植生回復 / 緑化技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では砂漠化の進行が著しいムルンを対象として、1)現況調査を行うとともに、2)植物の成長促進効果が期待されるフルボ酸を利用した緑化手法の開発および評価を行い、3)その緑化効果による飛砂や砂塵嵐の抑制効果を評価することを目的とする。新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大した2020年度においては殆ど研究を進めることはできなかった。その後もデルタ株やオムクロン株の出現により、2021年度も2020年度同様に大幅な研究計画の変更と研究計画および研究実施体制の再考を余儀なくされた。このような状況下において、2021年度は(1)研究協力者のサポートにより野外実験を実施し、(2)研究実施体制を見直し、モンゴルの肥料製造企業と研究体制を構築し、緑化技術の開発を試みた。(1)に関して、2021年度は研究協力者に遠隔で指示を出し、ムルンにて小規模ながらも野外実験を実施したものの、実験期間中に研究協力者およびその家族が新型コロナウイルスに罹患し、(ムルンからウランバートルに)緊急搬送されるなどの事態が生じた。その結果、圃場の管理ができなくなり、家畜の進入も許して被害にあった結果、野外実験は中止せざるをえなかった。(2)に関して、今後も渡航できないことを想定して、信頼できるカウンターパートや研究協力者の存在は不可欠であると考え、綿密な関係者協議を経て、モンゴルの肥料製造企業と共同研究を実施することで合意した。2022年6月までの間に羊毛やフルボ酸を使った肥料(ペレット)の試作などを行っており、それらの試作品を基に2022年度は野外試験を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響により、研究を開始した2020年度および2021年度はモンゴル全土で度重なるロックダウンや外出・入国規制に加えて、モンゴル入国後の強制隔離措置が講じられてきた。そのため、研究開始から2022年3月に至るまで、研究メンバーが現地に渡航して実験を進めることは一切できておらず、2021年度も2020年度同様に現地調査ならびに野外実験を十分に実施できる状況ではなかった。2022年4月時点においても、本学では海外渡航禁止措置が原則継続されており、研究計画の再考を余儀なくされている。本研究は現地でのフィールド試験を中心に計画されており、渡航できない状況下が続いたため、研究は大幅に遅れているだけではなく、本研究計画で実施する野外実験では種子の散布時期は限られているため、当初の研究計画である複数年に亘る経過観察を含めた植生評価も厳しく、研究目標の達成は非常に難しいのが現状である。現時点で研究計画を大幅に見直す必要が迫られる中で、研究計画を柔軟に変更して研究を継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
モンゴルでは2022年3月14日からは新型コロナウイルスの水際対策解除を発表しており、計画の変更や規模縮小は必要であるものの、2022年6月からの現地での野外実験の実施を予定している。過去2年間で現地渡航ができず、研究を十分に進めることができず、研究実施体制の見直しの必要性にも迫られた。2022年度からは共同研究先の企業および大学の専門家の協力を得て、コロナ禍においても実施可能な研究計画に変更して野外実験を実施する予定である。なお、新型コロナウイルスだけではなく、ロシアのウクライナへの侵攻の影響を受け、物価の急上昇や治安の悪化などにも配慮する必要性があるため、現状では大幅に実験規模を縮小して野外実験を実施する予定である。なお、得られた研究成果を少しでも社会に還元するため、得られた知見を基に成果の公表に努める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、現地へ渡航できなかったこと、および現地で野外実験ができなかったことから使用額と差が生じた。2022年度も渡航できなかった場合を想定して、現地の土壌分析費用や気象データの購入費、あるいは現地の協力者への謝金などに充てることで、研究を可能な限り継続し、費用の適切な執行に努める。
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